故に車を戦かせしめ、車十乗を得て上るに以べば、其の得る者を賞めて而も其の旌旗を更めて、車は雑えて乗うに之い、卒は共えて養えば之く。是を胃すれば敵に勝ちて而は強を益す。

其二4-2

故車戰、得車十乘以上、賞其得者、而更其旌旗、車雜而乘之、卒共而養之。是胃勝敵而益強。

gù chē zhàn、deǐ chē shí shèng yǐ shàng、shǎng qí deǐ zhě、ér gēng qí jìng qí、chē zá ér shèng zhī、zú gòng ér yǎng zhī、shì wèi shèng dí ér yì qiáng。

解読文

①だから、敵兵達を恐れ震えさせて、敵戦車十台を手に入れて献上するに至れば、敵戦車を手に入れた兵士に褒美を与えて、さらに敵戦車の旗印を自軍の旗印に取り替えて、その戦車と自軍の戦車を組み合わせて敵国への進攻に使用し、攻め取った敵兵達には衣食住を供給して生活の面倒をみれば従順な態度に変わる。この教えを消化して身につければ、敵を抑えて自軍の強大さが増加する。

②敵兵達を恐れ震えさせる戦術は、敵の十倍の戦車を備えて進攻して自軍の方が優勢だと認めさせるのである。戦術を実現した兵士は、攻め取った敵兵達に褒美を与えることで償い、手に入れた敵戦車十台は自軍の旗印を飾って取得した敵操縦士達に走行させ、取得した敵兵達が尽き果てた時は自軍の兵士達と一緒に保養する。取得した敵兵達を残らず順応させて自軍の兵士として編制すれば、さらに自軍を強大にする。

③敵兵達を恐れ震えさせる戦術を実現して、完全な状態を保っている敵戦車の集計を行う時は敵戦車を集合させるのであり、取得した敵兵達の中でも自軍に服従する敵兵を褒め称えて尊重して、敵戦車の旗印を自軍の旗印に取り替えた敵兵を目立つように表彰するならば、集合させた敵戦車にその敵兵を登らせて他の敵兵達に共有させれば、旗印に取り替えた敵兵を喜ばせることができる。自軍が旗印に取り替えた敵兵を担ぎ上げれば旗印に取り替える敵兵が次々と出現するのであり、頑固な敵兵に正確な判断を理解させたのである。

④敵戦車十台を手に入れた時に衰えて恐れ震える敵操縦士は、敵軍の上官を尊重して採用すれば自軍に服従する者達であり、敵戦車を集合させた時に自軍がこの機会を利用すれば、上官を取り巻く、衰えて恐れ震える敵兵達を自軍で治療するに至り、敵戦車の旗印を自軍の旗印に取り替えさせることができる。敵軍の上官に正確な判断を理解させれば、恐れ震えて硬直している敵兵達を自軍に加えることができる。

⑤自国に仕返ししたい感情に揺れ動く敵兵達はその感情が極限に達すれば、戦車を具備して自軍の上級武将と見なした相手を虐げようとするのであり、自軍が敵の旗印を自軍の旗印に取り替えさせた敵戦車で巡回して上級武将の隙を狙って殺害しようとするが、その自軍に仕返ししたい敵兵達に褒美を与えて恩恵を施せば、彼らを蓄えさせて慎ませることができる。さらにあり余る褒美で豊かにさせれば、自軍に仕返ししたい敵兵達を抑えることができる。

⑥自国に仕返ししたい敵兵達に恩恵を施せば、自国に仕返ししたい感情に揺れ動く敵兵達が満足して自軍に服従した兵士となり、真心のある法規や決まりを認めて自国の君主を褒め称えるのである。戦車は敵軍の旗印に入れ替えることができるため、敵戦車に入り混じって敵軍の虚を利用して尽き果てさせることができるのであり、将軍が一緒に間者任務の修練をして敵軍に赴かせる。正確な判断を習熟させて敵に忍ばせれば自軍を援助することに励む。

⑦任務を実行して敵戦車を恐れ震えさせる間者は敵戦車十台を手に入れて、敵軍から手に入れた戦車や兵士を献上して褒美を与えられるのである。将軍は敵軍から戦果を挙げた証としてその間者を目立つように表彰すれば、他国の人民が混じっている兵士達にこの機会を利用して進攻させることができて敵軍を尽き果てさせるのであり、将軍は、敵軍を尽き果てさせた兵士達に対して両手を胸の前で重ね合わせて敬意を表して保養するのである。敵軍を既に滅ぼされた状態に至らせた後に戦うことを消化して身につければ、自軍に利点をもたらすことができてあり余る。

⑧だから、敵兵達を恐れ震えさせて敵兵と敵戦車十台を手に入れて、自国の君主を攻め取った敵兵達に褒め称えさせる兵士を尊重して任用するのである。他国の人民が混じっている兵士達で敵領地に進攻して戦争が終了するに至れば、その敵領地の旗を自国の旗に取り替えることができ、将軍が衣食住を供給して生活の面倒をみるに至るのである。強い国に至る教えを消化して身につければ、敵国よりも自国を優勢にすることができて軍隊の勢いはみなぎるのである。
書き下し文
①故に車を戦(おのの)かせしめ、車十乗を得て上(たてまつ)るに以(およ)べば、其の得る者を賞(ほ)めて而(しか)も其の旌旗(せいき)を更(あらた)めて、車は雑えて乗(お)うに之(もち)い、卒(そつ)は共(そな)えて養えば之(ゆ)く。是を胃すれば敵に勝ちて而(なんじ)は強を益す。

②車を戦(おのの)かせしむ故は、十の車を得て乗(お)いて上と以(おも)わせしむなり。得る者は其の賞(ほ)めて更(つぐな)い、其の車に旌旗(せいき)を雑して之に乗らせしめ、之の卒(お)わるに而(なんじ)と共に養う。敵を勝(あ)げて是(ただ)して胃すれば而(すなわ)ち益(ますます)強くす。

③車を戦(おのの)かせしむ故を得て、十たる車を乗(はか)ること以(な)すに車は雑(あつ)めしむなり、其の得る者を賞(ほ)めて上(たっと)びて其の旗(き)を更(あらた)めるものを旌(あらわ)せば而(すなわ)ち之に乗らせしめて卒(そつ)に共にせしめば、而(よ)く之を養わせしむ。而(なんじ)の敵を勝(た)えれば益(あふ)れるなり、強(こわ)きものに是を胃せしむなり。

④車十乗を得るに故(ふ)りて戦(おのの)く車は、其の上を賞(たっと)ぶに以(もち)いれば得る者なり、車と雑(あつ)めるに而(なんじ)は之に乗ずれば、共する卒(そつ)を而(なんじ)は養うに之(いた)り、其の旌旗(せいき)を而(よ)く更(あらた)めしむ。勝(た)えらるる敵に是を胃せしめば、而(よ)く強(こわ)きものを益(ま)す。

⑤故に戦(そよ)ぐ車は十たれば、車を得て上と以(おも)うものを乗(しの)がんとするなり、而(なんじ)の其の旌旗(せいき)を更(あらた)めしむ車に雑(めぐ)りて而(なんじ)に乗じて卒(しゅっ)すに之(いた)らせしめんとするも、其の賞(ほ)めて得すれば、之を養わせしめて而(よ)く共(うやうや)しくせしむ。益(ますます)強なる是を胃せしめば而(よ)く敵に勝つ。

⑥其の得すれば、故に戦(そよ)ぐ車は得て十なる車たり、乗を以(おも)いて上を賞(ほ)むなり。車は其の旌旗(せいき)に而(よ)く更(か)わるに、雑(まじ)りて而(よ)く之に乗じて卒(お)わらせしむなり、而(なんじ)は共に養いて之(ゆ)かせしむ。是を胃せしめて敵に勝(た)えしめば而(すなわ)ち益(たす)けることに強(つと)める。

⑦故を以(な)して車を戦(おのの)かせしめむ車は十乗を得て、其の得る者を上(たてまつ)りて賞(ほ)めらるるなり。而(なんじ)は其の更(へ)る旗(き)として旌(あらわ)せば、雑なる車に而(よ)く乗じて之(ゆ)かせしめて卒(お)わらせしむなり、而(なんじ)は之に共(きょう)して養うなり。勝たるものに是(ゆ)かせしむに敵すること胃すれば、而(よ)く益(えき)して強なり。

⑧故に車を戦(おのの)かせしめて車と十乗を得て、得を其の賞(ほ)めしむ者を上(たっと)びて以(もち)いるなり。雑なる車の旗(き)に乗(お)いて而(よ)く卒(お)わるに之(いた)らせしめば、其の旌(せい)を而(よ)く更(あらた)め、而(なんじ)は共(そな)えて養うに之(いた)るなり。強に是(ゆ)くこと胃すれば、而(よ)く敵に勝(まさ)りて益(み)ちるなり。
<語句の注>
・「故」は①だから、②③たくらみ、④衰える、⑤⑥⑦たくらみ、⑧だから、の意味。
・1つ目の「車」は①②③中国将棋の駒の一つ、④車を操縦する人、⑤⑥中国将棋の駒の一つ、⑦戦車、⑧中国将棋の駒の一つ、の意味。
・「戦」は①②③④(恐れや寒さのために)震える、⑤⑥揺れ動く、⑦⑧(恐れや寒さのために)震える、の意味。
・1つ目の「得」は①手に入れる、②備わる、③実現する、④手に入れる、⑤具備する、⑥満足する、⑦⑧手に入れる、の意味。
・2つ目の「車」は①②③④⑤戦車、⑥⑦⑧中国将棋の駒の一つ、の意味。
・「十」は①数の名、②十倍、③完全なさま、④数の名、⑤極限にまで達しているさま、⑥完全なさま、⑦⑧数の名、の意味。
・1つ目の「乗」は①馬四頭立ての戦車を数える言葉、②進攻する、③計算する、④馬四頭立ての戦車を数える言葉、⑤虐げる、⑥教え、⑦⑧馬四頭立ての戦車を数える言葉、の意味。
・「以」は①押し及ぶ、②認める、③事を行う、④採用する、⑤見なす、⑥認める、⑦事を行う、⑧使用する、の意味。
・「上」は①献上する、②目上の人、③尊重する、④⑤目上の人、⑥国君、⑦献上する、⑧尊重する、の意味。
・「賞」は①②褒美を与える、③褒め称える、④尊重する、⑤褒美を与える、⑥褒め称える、⑦褒美を与える、⑧褒め称える、の意味。
・1つ目の「其」は①②敵の代名詞、③その中の、④⑤⑥⑦⑧敵の代名詞、の意味。
・2つ目の「得」は①手に入れる、②実現する、③④適合する、⑤⑥恩恵を施す、⑦手に入れる、⑧徳のある者、の意味。
・「者」は①②③④助詞「もの」、⑤⑥仮定表現の助詞、⑦⑧助詞「もの」、の意味。
・1つ目の「而」は①累加の関係を表す接続詞、②③順接の関係を表す接続詞、④⑤⑥~できる、⑦あなた、⑧~できる、の意味。
・「更」は①新しいものに変える、②補い償う、③④⑤新しいものに変える、⑥物事を入れ替える、⑦経験する、⑧新しいものに変える、の意味。
・2つ目の「其」は①②③④⑤⑥⑦⑧敵の代名詞、の意味。
・「旌」は①②旗の通称、③(はっきりと目立つように)表彰する、④⑤⑥旗の通称、⑦はっきりと目立つように)表彰する、⑧旗の通称、の意味。
・「旗」は①②印、③各種の旗の総称、④⑤⑥⑦印、⑧内蒙古の行政区画名(県に相当する)、の意味。
・3つ目の「車」は①②③④⑤⑥戦車、⑦⑧中国将棋の駒の一つ、の意味。
・「雑」は①組み合わせる、②飾る、③④集合する、⑤循環する、⑥入り混じる、⑦⑧色々な種類のものが混じったさま、の意味。
・2つ目の「而」は①②順接の関係を表す接続詞、③条件関係を表す接続詞、④⑤あなた、⑥⑦⑧~できる、の意味。
・2つ目の「乗」は①進攻する、②牛馬や車、船によって走行する、③登る、④⑤⑥⑦機会を利用する、⑧侵攻する、の意味。
・1つ目の「之」は①使う、②彼ら、③④代名詞、⑤ある地点や事情に達する、⑥彼ら、⑦赴く、⑧ある地点や事情に達する、の意味。
・「卒」は①兵士、②尽き果てる、③④兵士、⑤死ぬ、⑥⑦尽き果てる、⑧終了する、の意味。
・「共」は①供給する、②一緒に、③共有する、④とりまく、⑤慎む、⑥一緒に、⑦両手を胸の前で重ね合わせて敬意を表す、⑧供給する、の意味。
・3つ目の「而」は①順接の関係を表す接続詞、②あなた、③~できる、④あなた、⑤~できる、⑥⑦⑧あなた、の意味。
・「養」は①生活の面倒をみる、②保養する、③喜ぶ、④薬や食べ物で治す、⑤蓄える、⑥修練する、⑦保養する、⑧生活の面倒をみる、の意味。
・2つ目の「之」は①変わる、②③代名詞、④ある地点や事情に達する、⑤彼ら、⑥赴く、⑦代名詞、⑧ある地点や事情に達する、の意味。
・「是」は①代名詞、②正しくする、③④正確な判断、⑤代名詞、⑥正確な判断、⑦⑧至る、の意味。
・「胃」は①②③④⑤⑥⑦⑧飲食したものを蓄え消化する器官、の意味。
・「勝」は①抑える、②残らず、③④担ぎ上げる、⑤抑える、⑥忍ぶ、⑦既に滅ぼされたさま、⑧越える、の意味。
・「敵」は①②③④⑤⑥戦争や競争で対抗する相手、⑦当たる、⑧戦争や競争で対抗する相手、の意味。
・4つ目の「而」は①あなた、②③条件関係を表す接続詞、④⑤~できる、⑥条件関係を表す接続詞、⑦⑧~できる、の意味。
・「益」は①増加する、②さらに、③水が溢れ出る、④加える、⑤さらに、⑥援助する、⑦利益をもたらす、⑧一杯にみなぎる、の意味。
・「強」は①強大さ、②強大にする、③頑固なさま、④硬直するさま、⑤余るさま、⑥励む、⑦余るさま、⑧強い国、の意味。
<解読の注>
・孫子(講談社)の原文は「故車戰、得車十乘已上、賞其先得者、而更其旌旗、車雜而乘之、卒共而養之。是謂勝敵而益強。」と「以」を「已」、「胃」を「謂」とし、「先」が入るが、中國哲學書電子化計劃「銀雀山漢墓竹簡(孫子)」の原文に従った。
・この句には八通りの書き下し文と解読文がある。①②③④⑤⑥⑦⑧と付番して、それぞれについて解説する。

<①について>
・1つ目の「車」の“中国将棋の駒の一つ”は兵士一人と解釈できるが、話の流れに合わせて“敵兵の一人ひとり“と考察し、「敵兵達」と解読した。なお、” 車を操縦する人“の意味を採用して「敵操縦士」に限定して解読しても良いが、各解読文の内容は操縦士に限らず、敵兵全般を指す内容が多いと解釈した。②③⑤⑧も同様に解読。

・「更」の“新しいものに変える”は、敵戦車の旗印を新しいものに変えるのであり、その“新しいもの”は自軍の旗印と考察できる。結果、「自軍の旗印に取り替える」と解読。

・「卒」は、1つ目の「車」の「敵操縦士達」に限らず、攻め取った敵兵達と考察して「攻め取った敵兵達」と解読。

・「共」の“供給する”物は、食事等の生活に必要な物資全般と考察して「衣食住を供給する」と補って解読。②も同様に解読。

・2つ目の「之」の“変わる”は、衣食住を供給することで攻め取られて従順ではなかった敵兵の態度が変わると考察し、「従順な態度に変わる」と補って解読。

・「是」は、「車戰、得車十乘以上、賞其得者、而更其旌旗、車雜而乘之、卒共而養之」を指示する代名詞と解釈。結果、「この教え」と解読。

・「胃」は“飲食したものを蓄え消化する器官”であり、飲食したものを自分の血や肉に変える器官である。そこで“飲食したもの”を“教え”と置き換えれば、“血や肉に変える”とは“(教えを)身につける”ことと解釈できる。結果、「消化して身につける」と解読する。⑦⑧も同様に解読。
なお、「消化して身につける」とは、其一2-6①「知」の「実践できる知恵」を得ることと同意と推察する。

<②について>
・「敵の十倍の戦車を備えて進攻」は、其三3-1①「過去の戦争事例に従った戦略、戦術のお手本は、自軍の兵士数が、十倍であれば敵軍を包囲する」に基づく教えと考察。

・「上」の“目上の人”とは、敵戦車の十倍もある戦車を備えた自軍のことであり、敵戦車から見た自軍の戦車部隊が“目上の人”ということになる。続く「以」で“認める”を採用することで、「自軍の方が優勢(と認める)」と解読できる。

・2つ目の「得」の“実現する”事柄は、「敵操縦士達を恐れ震えさせる戦術」と考察し、「戦術を実現する」と補って解読。

・「其」は、「敵兵達を恐れ震えさせる戦術」によって攻め取った状態と考察し、「攻め取った敵兵達」と解読。

・「旗を旌す」の直訳は“旗を表示する”となる。これは①「敵戦車の旗印は自軍のものに取り替える」と考察し、「自軍の旗印を敵戦車に掲げる」と解読。

・「其の車」は、①「敵戦車十台を手に入れて献上する」意味を積み上げていると考察し、「手に入れた敵戦車十台」と解読。また、続く「旌旗」は、①「敵戦車の旗印は自軍のものに取り替える」に基づいて「自軍の旗印」と解読。

・1つ目の「之」の“彼ら”は、取得した敵戦車を走行させる者であり、自軍に順応した状態した状態であるため、「取得した敵操縦士」と解読。

・2つ目の「之」は、「其」の「敵兵達」を指示する代名詞と考察するが、自軍に順応した状態した状態であるため、其二4-1⑧「取得した敵兵」と解釈して「取得した敵兵達」と解読。

・3つ目の「而」の“あなた”は、「取得した敵兵達」と一緒に保養する者達であるため、「自軍の兵士達」と解読。

・「敵」の“戦争や競争で対抗する相手”は、話の流れに合わせて「取得した敵兵達」と解読。

・「是」の“正しくする”とは、「取得した敵兵達」を、自軍にとって正しい考え方、態度に変えることと考察し、「自軍に順応させる」と解読。

・「胃」の“飲食したものを蓄え消化する器官”は、「取得した敵兵達」をすっかり自軍の一員にすることと考察し、「自軍の兵士として編制する」と解読。

<③について>
・「乗」の“計算する”は、完全な状態を保っている戦車を数えることと考察し、「集計する」と解読。

・1つ目の「其」の“その中の”の“その”は、②「敵」の「取得した敵兵達」と同意と考察し、「取得した敵兵達の中でも」と解読。

・2つ目の「得」の“適合する”は、自軍に適合することと考察して「自軍に服従する」と解読。④も同様に解読。

・「其の旗を更める」は、①「敵戦車の旗印を自軍の旗印に取り替える」と同意と考察し、「敵戦車の旗印を自軍の旗印に取り替える」と解読。

・1つ目の「之」は、3つ目の「車」の「集合させた敵戦車」を指示する代名詞と解読。

・「卒」は、表彰される敵兵以外の敵兵達を指すと考察し、「他の敵兵達」と解読。

・2つ目の「之」は、「更」の「敵戦車の旗印を自軍の旗印に取り替えた敵兵」を指示する代名詞と考察し、「旗印に取り替えた敵兵」と解読。

・「敵」の“戦争や競争で対抗する相手”は、話の流れに合わせて「旗印に取り替えた敵兵」と解読。

・「益」の“水が溢れ出る”について、孫子兵法における「水」は“兵士(人民)”の喩えとして使用されているため、“兵士達が溢れ出る”と読み替えることができる。また、“溢れ出る”描写は、次々と水が流れ出て来る状態と解釈すれば、「益」は「旗印に取り替える敵兵が次々と出現する」と解読出来る。

・「胃」の“飲食したものを蓄え消化する器官”は、「取得した敵兵達」に「正確な判断(=是)」が腑に落ちて理解させることを消化と表現すると考察し、「是を胃せしむ」で「正確な判断を理解させる」と解読。④も同様に解読。

<④について>
・「其の上」の直訳は“敵の目上の人”となる。話の流れを踏まえれば、「衰えて恐れ震える敵兵達」の上官と考察できる。結果、「敵軍の上官」とした。

・「敵戦車を集合させた時」とは、③「完全な状態を保っている敵戦車の集計を行う時は敵戦車を集合させる」を指すと考察。

・1つ目の「之」は、2つ目の「得」の「敵軍の上官を尊重して採用すれば自軍に服従する」を指示すると考察。但し、解読文は冗長になることを避けて、2つ目の「乗」の“機会を利用する”の意味と合わせて「この機会を利用する」と解読した。

・「共する卒」の直訳は“とりまく兵士”である。話の流れを考慮すると、これは「衰えて恐れ震える敵操縦士は、敵軍の上官を尊重して採用すれば自軍に服従する」を一般化していると推察できるため、「上官を取り巻く、衰えて恐れ震える敵兵達」と解読した。

・「勝えらるる敵」の直訳は“担ぎ上げられている敵”となる。これは「敵軍の上官」と同意と考察し、「敵軍の上官」と解読。

・「強」の“硬直したさま”は、「衰えて恐れ震える敵兵達」を指すと考察し、「恐れ震えて硬直している敵兵達」と解読。

<⑤について>
・「故に戦ぐ車」は、「車」を「敵兵達」と解読すれば、“たくらみに揺れ動く敵兵達”となる。この“たくらみ”とは、其二1-2②「敵軍を服従させても元敵兵達が力を尽くすのは本心を隠した偽りであるため、いずれ自国に仕返しする覚悟に変わる」で記述された「自国に仕返しする覚悟」を指すと考察し、「故に戦ぐ車」は「自国に仕返ししたい感情に揺れ動く敵兵達」と解読。⑥も同様に解読。

・「上」の“目上の人”は、「自国に仕返ししたい感情に揺れ動く敵兵達」が命を狙う人物と考察し、「自軍の上級武将」と解読。

・1つ目の「其」は、「故に戦ぐ車」の「自国に仕返ししたい感情に揺れ動く敵兵達」を指示する代名詞と考察し、簡潔に「自軍に仕返ししたい敵兵達」と解読。

・「而に乗じる」の直訳は“あなたの機会を利用する”となる。「自軍に仕返ししたい敵兵達」が自軍の旗印をつけた戦車で巡回しながら“あなたの機会を利用する”ということは、上級武将に隙が生じた瞬間を“機会”とするのだと解釈できる。結果、「上級武将の隙を狙う」と解読。

・2つ目の「之」の“彼ら”は、1つ目の「其」の「自軍に仕返ししたい敵兵達」と同意と考察するが、ここでは冗長にしない目的でそのまま「彼ら」と解読する。

・「是」は、「賞めて得す」の「褒美を与えて恩恵を施す」ことを指示する代名詞と考察し、簡潔に「褒美」と解読。

・「胃」の“飲食したものを蓄え消化する器官”は、「(恩恵を施して与えた)褒美」が「自軍に仕返ししたい敵兵達」の財産になることと考察し、「豊かにさせる」と解読。

・この解読文⑤は、其二1-2③「自国に仕返ししようとする敵人民は国費を使って礼遇することで服従させて、本心を隠した偽りの態度を定着させて自国に仕返しする感情を消す」に関連する。

<⑥について>
・「十なる車」は、“中国将棋の駒の一つ”は兵士一人と解釈できるため“完全な兵士”となる。この“完全”の意味は、「自国に仕返ししたい感情に揺れ動く敵兵達」に対して完全な状態であるため、自軍に服従した状態と考察。結果、「自軍に服従した兵士」と解読。

・1つ目の「乗」の“教え”は、「自軍に服従した兵士」が認める物であるため、其九6-1⑦「広まった真心のある法規や決まりによって敵国の人民を教え導けば、その人民は奴隷と共に降服してくるのである」で記述された「真心のある法規や決まり」を指すと考察した。

・「雑」の“入り混じる”は、敵軍の旗印に入れ替えて元に戻した敵戦車が敵軍の戦車部隊に入り混じって潜入するのだと考察し、「敵戦車に入り混じる」と解読。

・「之に乗じて卒わらせしむ」の直訳は“彼らの機会を利用して尽き果てさせる”となる。「敵戦車に入り混じる」戦車が機会を利用するのは、虚実篇で説かれる「敵軍の虚」が生じた瞬間を攻めることと考察できる。そのため“彼ら”は「敵軍」を指すことがわかる。結果、「敵戦車に入り混じって敵軍の虚を利用して尽き果てさせることができる」と解読。なお、これは記述内容から其十二2-2①「敵から寝返らせても敵と親しく交流する間者」の任務と考察できる。

・「将軍が一緒に間者任務の修練をして敵軍に赴かせる」は、其十二2-2①「敵から寝返らせても敵と親しく交流する間者」の任務を将軍が指導していると考察。将軍が間者に直接指導する教えは、其十二2-3④「軍神である将軍は、生きたまま敵を取得する間者の養育係になるのである。間者を一人前にする時は、何度も戦争に連れ立って起用して、敵兵達の士気が殺がれる時機を識別することを指導して習熟させるのである」等に基づき、補って解読した。

・「胃」の“飲食したものを蓄え消化する器官”は、例えば其十二2-3④「敵兵達の士気が殺がれる時機を識別することを指導して習熟させる」から類推し、「是」の“正確な判断”を「習熟させる」と解読。

<⑦について>
・「故を以して」の直訳は“たくらみを行う”となる。これは⑥「敵戦車に入り混じって敵軍の虚を利用して尽き果てさせる」と考察、其十二2-2①「敵から寝返らせても敵と親しく交流する間者」が行う「任務」の一つと解釈して「任務を実行する」と解読した。

・2つ目の「車」の“中国将棋の駒の一つ”は兵士一人と解釈でき、⑥「間者任務の修練をして敵軍に赴かせる」敵戦車の操縦士であり、⑥「敵戦車に入り混じって敵軍の虚を利用して尽き果てさせる」ことが任務と考察できる。この敵操縦士は、其十二2-2①「敵から寝返らせても敵と親しく交流する間者」であることを踏まえた上で、簡潔に「間者」と解読。

・「其の更る旗」の直訳は“敵の経験した印”となる。この“敵の経験した印“によって間者が目立つように表彰される理由は、他の兵士達に戦況が優勢だと思わせて奮い立たせることにあると考察。つまり、戦況が自軍に優勢だとわかるものが“敵の経験した印“となるため、「敵軍から戦果を挙げた証」と解読した。

・「雑なる車」について「車」の“中国将棋の駒の一つ”意味より「兵士達」と解釈し、「雑」の“色々な種類のものが混じったさま”は他国の人民が「兵士達」に混じっている状態と考察。結果、「他国の人民が混じっている兵士達」と解読。⑧も同様に解読。

・2つ目の「之」は、3つ目の「車」の「他国の人民が混じっている兵士達」を指示する代名詞と考察するが、「敵軍を尽き果てさせる」ことを達成したからこそ将軍が敬意を表すのである。「敵軍を尽き果てさせる」意味を重視して、「敵軍を尽き果てさせた兵士達」と解読。

・「敵」の“当たる”は、“攻撃する”意味を採用すると孫子兵法の理念に合わないため、話の流れに合わせて抽象的だが「戦う」に置き換えた。

<⑧について>
・2つ目の「車」の“中国将棋の駒の一つ”は、1つ目の「車」同様に解釈して「敵兵」と解読。

・2つ目の「得」の“徳のある者”は、取得した敵兵に褒め称えさせる文意であるため、⑥「自国に仕返ししたい感情に揺れ動く敵兵達が満足して自軍に服従した兵士となり、真心のある法規や決まりを認めて自国の君主を褒め称える」の「自国の君主」を指すと解読。

・「旗」の“内蒙古の行政区画名(県に相当する)”は、確実なことは不明だがウィキペディア掲載情報では“直轄地を県”とする。これを参考にするが、不確かな情報であるため「敵領地」と曖昧に解読しておく。なお、「敵国の町、村、里、集落」と解釈しても整合するが、これも確実性に乏しいため、今回は「敵領地」とした。

・「勝」の“越える”は、強い国になった自国が敵国よりも優勢になって勝ることと考察し、「優勢になる」と解読。

・「益」の“一杯にみなぎる”は、その意味から其四4-5①「兵士数がどんどん増えていく軍隊を使って兵士数が減っていくしかない敵軍を思うままに操って抑える将軍は敵兵達を恐れ震えさせるのであり、あぜ道にある水の流れを停滞させれば充満した状態に達して隙間を生じて充満した水が決壊に至る現象をお手本にするのである」で記述される「水の流れを停滞させれば充満した状態に達する」ことと同意と考察。其四4-5①は軍隊に勢いを生み出す教えであるため、「軍隊の勢いはみなぎる」と解読した。

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