害むに雑えるに、故より憂える患いを解く可し。

其八2-3

雜於害、故憂患可解。

zá yú hài、gù yōu huàn kĕ jiě。

解読文

①都合が悪いと思うことを組み合わせて自軍の立場を確かにする時は、必ず心配する問題点を取り除かなければならない。

②様々な利点と都合が悪いと思うことを組み合わせたことによって、問題点を取り除くことができた時、都合が悪いと思う心配事が消えるのである。

③都合が悪いと思う心配事が消える時、敵に害を与える利点を悟るのであり、敵軍を乱れさせて獲物となる敵部隊を出現させるのである。

④敵軍を乱れさせて獲物となる敵部隊を出現させた時は、武力で傷つけて衰えさせることによって、害を与えられる心配事を取り除かなければならない。
書き下し文
①害(にく)むに雑(まじ)えるに、故(もと)より憂える患(わずら)いを解く可(べ)し。

②雑(まじ)えることに患(わずら)いを解く可(べ)きに、害(にく)む憂(うれ)いは故するなり。

③害(にく)む憂(うれ)いの故するに、患(わずら)わす可は解けるなり、雑(ざつ)たらしめて於(う)あらしむなり。

④雑(ざつ)たらしめて於(う)あらしむに、害(そこ)ないて故(ふ)らしめて、患(わずら)わさるる憂(うれ)いを解く可(べ)し。
<語句の注>
・「雑」は①②組み合わせる、③④乱れているさま、の意味。
・「於」は①~を、②~によって、③④カラス、の意味。
・「害」は①②③都合が悪いと思う、④傷つける、の意味。
・「故」は①必ず、②③死ぬ、④衰える、の意味。
・「憂」は①心配する、②③④心配事、の意味。
・「患」は①②問題点、③④害を与える、の意味。
・「可」は①~しなければならない、②~できる、③長所、④~しなければならない、の意味。
・「解」は①②取り除く、③悟る、④取り除く、意味。
<解読の注>
・この句は中國哲學書電子化計劃「銀雀山漢墓竹簡(孫子)」の原文に従うが、孫子(講談社)の原文とも一致する
・この句には四通りの書き下し文と解読文がある。①②③④と付番して、それぞれについて解説する。

<①について>
・「雑」の“組み合わせる”は、其八2-1①「雑」で記述された「様々な利点と都合が悪いと思うことを組み合わせて自軍の立場を確かにする」の意味を積み上げていると考察。結果、「組み合わせて自軍の立場を確かにする」と補って解読。

<②について>
・「雑」の“組み合わせる”は、其八2-1①「雑」で記述された「様々な利点と都合が悪いと思うことを組み合わせて自軍の立場を確かにする」の意味を積み上げていると考察。結果、「様々な利点と都合が悪いと思うことを組み合わせる」と補って解読。

・「故」の“死ぬ”は、都合が悪いと思う心配事が解消されて消えることと考察。結果、「消える」と解読。③も同様に解読。

<③について>
・「於」の“カラス”は、其五3-2①「鷹が獲物の鳥に追いついて強奪する時は、周到に行き届いているのであり、獲物の鳥を傷つけて挫折させる要因は、攻め取る節目と時機が出現したからである」の「獲物の鳥」と考察。結果、「獲物となる敵部隊」と解読。④も同様に解読。

<④について>
・「害」の“傷つける”は、「獲物となる敵部隊」を攻め取る奇策部隊が武力で撃つことと考察。結果、「武力で傷つける」と補って解読。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。