孫子兵法を解読文だけ読む

当サイトに掲載している孫子兵法の解読文は、一般的な解釈と大きく異なるため、一句毎に丁寧に原文、書き下し文、解読文、漢字の意味、解読の注釈を入れています。しかし、この形式では解読文だけを読み取り、孫武が伝えようとした教えだけに集中しづらいため、各篇の解読文だけを掲載するページを設置することにしました。なお、ページには各篇で説かれている内容について、

其一 計篇

「計」の基本的な意味は「戦略、戦術」であり、孫子兵法の計篇には「戦略、戦術」に関する基本事項と要点が具体的にわかりやすくまとめられています。また、「戦略、戦術」に関する知識だけでなく、その知識を実践できる知恵として身につけるための教えは、現代人も学ぶべき内容と言えそうです。

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其二 作戦篇

「作戦」とは「戦争の準備を整える」ことです。孫子兵法は侵略戦争を成功させるための教えがまとめられているため、敵国に侵略する前に準備しておくべき事柄に関する基本と要点が具体的にわかりやすくまとめられていると言えます。

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其三 謀攻篇

「謀攻」とは「戦略、戦術を学ぶ」ことです。孫子兵法が推奨する「戦略、戦術の要点」がまとめられています。そして、学んだ通りに戦略、戦術を実行するための「君主による軍事の災いを抑制する教え」と「戦略、戦術の知識を知恵にする教え」が後半にあります。特に 「戦略、戦術の知識を知恵にする教え」 は、計篇で概要が説かれた「実践できる知恵」の基礎になる内容であり、大変参考になる内容です。

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其四 刑篇

刑篇で説かれている「刑」は「お手本」であり、主に「勝利する軍隊のお手本」を説いています。勝利するお手本とは「敵軍と軍隊の勢いで優劣を争って抑える戦略、戦術」であり、逆に敗北に至るお手本として「敵軍とせめぎ合って打ち破る戦略、戦術」も記述されています。刑篇では「お手本」を提示しているに過ぎませんが、最後の一句で「お手本を使いこなす秘訣は、直面している戦況の”類型”を識別する」教えと締めており、この”類型”も「刑」の意味です。埶篇以降に登場する”類型”をお手本として覚えるだけでなく、その ”類型” を直面している戦況に適合させる実践力の大切さを認識させられます。

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其五 埶篇

一般的には”勢篇”と記述される篇ですが、元々の原文では「埶篇」とされます。漢字「埶」の意味は「勢い、技、栽培する」であり、軍隊に「勢い」を生じさせるために必要となる「技術」についてまとめられています。また、「栽培する」意味は”生育する”や”繁殖させる”と言い換えることができ、 軍隊に「勢い」を生じさせるために”成長させる”又は”増やす”ことが必要な事柄もまとめられています。

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其六 虚実篇

「虚実」の「虚」は、軍隊が脆い状態、又は軍隊がその場所にいない状態を指しています。一方、「実」は、充実して堅固な軍隊、又は軍隊がその場所にいる状態を指しています。自軍が「実」の状態になって、「虚」に追い込んだ敵軍を容易く抑えるための教えがまとめられています。

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其七 軍争篇

「軍争」の「軍」は”陣取る”意味が主であり、「争」は”先を争う”意味が主ととなります。また、敵国に侵略戦争を仕掛けて陣取る場所は「敵国の里」です。つまり、先を争って敵里を奪い取って陣取ることが「軍争」であり、これを実現するための戦略が「汙直の計」です。陣地を広げながら兵士数を増やして敵軍を圧倒する権勢を生じ、せめぎ合うことなく敵国を降服させるための教えがまとめられています。なお、武田信玄の「風林火山」で有名な教えもこの軍争篇で記述されています。

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其八 九変篇

「九変」とは、「大きな災い」と、それに至る「異変」についてまとめられています。「異変」を避けることを基本とし、さらに「異変」を活かした戦略、戦術の在り方まで説かれています。また、終盤では「災いを起こす五種類の将軍」についてまとめられており、放置しておけば「負の連鎖」によって災いが大きくなると戒めています。いずれも孫武が説く「実践できる知恵」を習得するための重要な教えと解釈できます。

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其九 行軍篇

「行軍」は全般的に軍事の行い方がまとめられています。漢字「軍」は、主に”敵里を陣取ること、軍隊を配置(布陣)すること、兵士を編制すること、軍隊を統率する”といった意味で使用されており、それぞれ具体的な対処方法が記述されています。また、中盤以降は当時の軍事に関わる様子が描写されており、大変興味深い内容になっています。

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其十 地刑篇

地刑篇では、主に奇正の戦術を行うための六種類の「戦地の型」及び将軍の罪である六種類の「災いの型」が記載されています。また、「災いの型」に代表される様々な災いを抑制するために、「戦地の型」を利用する方法も綴られています。終盤では謀攻篇に続いて、「表面的な知識」と「実践できる知恵」の違い、知恵ある将軍同士の優劣を分ける点についてまとめられており、実践編と言える内容になっています。

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其十一 九地篇

九地篇は前半部分で九種類の戦地について説き、その後は戦地「死地」に対する教え、敵国をせめぎ合うことなく屈する具体的な方法、兵士達等を一点に集中させる教えや同盟を結ぶ諸侯の動かし方など人を動かす教えがまとめられ、そして「城壁に囲まれた敵都市」を攻め落とす教えと続く。地刑篇までの教えに基づいた、極めて実践的な内容となっており、具体的な描写が数多く登場します。

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其十二 用閒篇

用閒篇は、間者の存在意義や五種類の間者についてそれぞれの役割や具体的な使い方がまとめられています。後半では、相手に気付かれない内に策に誘い込む方法や、一人の間者が複数の役割を兼務する内容もあり、かなり実践的な内容と言えます。用閒篇を読めば、九地篇までに説かれた戦略、戦術を実現できる理由もわかるため、とても面白い内容になっています。

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其十三 火攻篇

火攻篇では、戦術的に仕掛ける五種類の火災(巧みに仕掛ける火災)について説かれています。この巧みに仕掛ける火災を利用した奇正の戦術のやり方や、間者の任務を補助する教えがまとめられており、虚実の「実」の状態にある敵を「虚」に追い込む方法がよくわかります。そして、終盤では全篇のまとめとしつつ、特に国家統治に関する心得が説かれています。

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