孫子兵法 作戦篇の解読文だけを読む

「作戦」とは「戦争の準備を整える」ことです。孫子兵法は侵略戦争を成功させるための教えがまとめられているため、敵国に侵略する前に準備しておくべき事柄に関する基本と要点が具体的にわかりやすくまとめられていると言えます。

其二1-1
孫先生が言うには、

①一般的に軍隊が敵国に赴いて兵士達に力を尽くさせるお手本は、疾走させる四頭立て戦車が千台、皮で覆った四頭立て戦車が千台、鎧を着た兵士は十万人を率いる。

②あらゆる範囲で軍隊に法規を従い守らせてもその法規が変われば、数多くの四頭立て戦車の操縦士が去って戻らず、その機会を利用して数多くの兵士達が戦車と武器を携帯していき、十万人いた兵士達は十分の一になる。

③戦略、戦術を使って兵士達に従い守らせるお手本は、戦略、戦術の概略を数多くある四頭立て戦車の操縦士に伝えて、戦車は数多くの兵士達を率いて大軍十万の最前列で進攻する。

④要旨は、兵士達に法規を従い守らせるに至り、数多くある四頭立て戦車の操縦士を追わせ、数多くの敵戦車を退けて進攻し、大軍十万の鎧を着た兵士で敵軍を囲むのである。
其二1-2
①千里先の敵国に将軍が兵糧を輸送すれば、国内の財貨を失う。その内訳は、訪問客に対して賓客の礼をもって対応する費用、接着剤や塗料の材料、荷車の操縦士と鎧を着た兵士の俸禄、一日に千金が必要である。そうしてやっと大軍十万を扶養するのである。

②兵糧を納付させるお手本を疎んじて、千里先の敵国で自軍の兵士達が食事を取れば軍隊は消耗した状態に至る。敵軍を服従させても元敵兵達が力を尽くすのは本心を隠した偽りであるため、いずれ自国に仕返しする覚悟に変わるのであり、指揮官が戦車の操縦士と親しくすれば必ず毎日金銭の世話をするのである。そうした末に大軍十万が十分の一に減れば、諸侯の大軍十万が進攻してくるのである。

③数多くの敵里から自軍に兵糧を送り届けさせるお手本は、敵里を敵国から寝返らせて自軍が統治することであり、自国に仕返ししようとする敵人民は国費を使って礼遇することで服従させて、本心を隠した偽りの態度を定着させて自国に仕返しする感情を消す処置を行い、一日に千金を使って養うのである。そうして将来は自軍の操縦士や鎧を着た兵士に変わる。猛獣の獅子のように荒々しい敵人民であっても扶養すれば大軍十万の一員に変わるのである。

④自軍から数多くの貧しい敵里に食糧を与えるお手本を疎んじれば、敵里の人民達の心が離れ、敵軍の来襲に対して力を尽くして服従していても、自国に仕返しする覚悟に変わって、自軍の操縦士や鎧を着た兵士の首をはねることになる。そうした末に一日に千金を使って敵里の人民を養おうとしても、大軍十万が十分の一に減ることになり、軍師は検挙されるのである。
其二2-1
①敵国との戦争に兵士達が力を尽くして、敵軍を抑えても長く戦地に留まるならば疲弊した軍隊は、勇猛果敢な気勢は打ち砕かれるのであり、城壁に囲まれた都市を武力で撃てば軍隊の勢いは尽き果てるのであり、長期間に渡って大軍十万を露営させれば国家の資力が不十分になる。

②敵軍が侵略戦争に力を尽くして自国を打ち破ろうとしても、敵軍を自国に長く引き止めるならば露営している敵軍は、選りすぐりの兵士達に城壁に囲まれた都市を武力で撃たせようとして失敗するのである。敵軍の勢いを押さえつける道理は、長期間に渡って敵軍を露営させてから自国内に敵軍を封じることであり、寝返らせて自国の人民に加えることに大いに力を尽くすのである。

③敵軍の資力を揺れ動かすのであり、敵軍が長く戦地に留まって持ち堪えようとすれば、その敵軍は、かえって敵国から不要と判断されて捨てられた軍隊となるのである。選りすぐりの兵士達は恥をかかされたのであり、その兵士達が自分達の国家を咎めるならば、国家のために尽力することを不当と思わせたのである。荒々しく自分達の国家を咎める敵兵達を自国内で長く留まらせるお手本を使って自国内に封じれば、その敵兵達を大いに満足させるのである。

④侵略戦争は敵里を経由して奪い取り、統治した敵里を長く引き止めるお手本で軍隊を整えて自軍の権勢を盛大にして、勇猛果敢な気勢が生じるのを待つのである。堅固な城壁に囲まれた都市を抑えつけるお手本に尽力し、荒々しく自分達の国家を咎める敵兵達を自国内で長く留まらせるお手本を使えば、自国を大いに奉らせて自国の人民に加えるのである。
其二2-2
①そもそも、軍隊が疲弊して勇猛果敢な気勢が打ち砕かれ、軍隊の勢いが尽き果てて財貨をことごとく出し尽くせば、すぐに多くの諸侯がこの機会を利用するのであり、敵となった諸侯は疲れ苦しむ自国に向けて軍隊を動員するだろう。ただ知識があるにすぎない将軍は有能では無く、敵となった諸侯と親密に付き合うことを重視しなかったのである。

②兵士達は、戦略、戦術が失敗すればすぐに切迫するため、軍隊はひどく行き詰まった状態となり、価値ある物品をことごとく持ち出すことを多くの兵士達が真似するだろう。そこで、敵となった諸侯が進攻すれば、自国は行き詰まった状態をごまかして軍隊を動員するのである。たとえ実践できる知恵のある将軍であったとしても、しかしながら敵となったこの諸侯の優れた点を自軍よりも劣らせることはできないだろう。

③戦略、戦術が失敗した時は、兵士達を打ち据えれば選りすぐりの兵士に不当と思わせるのであり、あらゆる価値ある物品がなくなって無理に任務遂行を求めれば、不当な仕打ちを受けた選りすぐりの兵士が、諸侯に自国の行き詰まった機会を利用することを啓発することで、自国が崩れる道理である。たとえ実践できる知恵のある将軍が、大いに熟練している選りすぐりの兵士と交流があったとしても、しかしながら敵となった諸侯がその選りすぐりの兵士を引き継ぐであろう。

④戦略、戦術が失敗すれば、兵士達に対して頭を地に打ち付けることを何度も繰り返すことで謝罪して選りすぐりの兵士達を服従させておき、無理に任務遂行を求めることは憚って褒美の品で任務を遂行させることをお手本にするである。不当な仕打ちを受けた選りすぐりの兵士が諸侯と進攻してきても、自国は行き詰まった状態から回復して敵となった諸侯達が崩れるのである。どうして実践できる知恵のある将軍が、大いに熟練している選りすぐりの兵士を敵となった諸侯に引き継がせるだろうか、いや引き継がせない。
其二2-3
①だから戦略、戦術は、鈍くて下手な具合になったとしても速める事例を耳にすることはあっても、得意とする将軍が今まで戦地に長く留まることを了解した事例はないのである。

②軍隊に災いが生じて困窮している状態と報告を受ければ、将軍は戦略、戦術を速めるのであり、過去の戦争事例から未来の展開を明らかにするのである。

③常日頃、質朴で華やかさがないと評判になっている戦略、戦術は、敵部隊を羊の集まりのように引き寄せるのであり、隠れている奇策部隊の間者は観察しているのである。

④戦略、戦術の道理を理解する将軍は、質朴で華やかさがない戦略、戦術で敵部隊を引き寄せるのであり、未来の展開を予測して奇策部隊の間者を隠すのである。
其二3-1
①そもそも、軍隊を戦地に長く留まらせて国家を豊かにした将軍は、今まで存在したことがないのである。

②軍隊を戦地に長く留めれば、自国の兵士達は、敵国が利点として強く求める存在となり、将来は敵国が手に入れるのである。

③将軍が敵国の町、村、里、集落を利点として強く求めて陣地にし、自軍の兵士達を長く留まらせて、将来、その町、村、里、集落を統治するのである。

④自軍が産物をつくる技能に優れた者を長く留まらせれば、陣地にした町、村、里、集落を豊かにする存在となり、その人民を兵士の集まりとして手に入れるのである。
其二3-2
①軍隊が災禍に至る具体的な現象の知識に従って直面している戦況を究明しない将軍は、戦略、戦術を使った時に軍隊に勢いが生じる効用を手に入れることはできないのである。

②軍隊が災禍に至る具体的な現象を理解している将軍は、過去の戦争事例を大いに究明したのであり、戦略、戦術を使った時に軍隊に勢いが生じる現象を大いに実現することができるのである。

③直面している戦況に戦略、戦術を上手く適合させる知恵のある将軍は、敵軍を怖がらせて奇策部隊の獲物となる敵部隊を出し尽くさせるのであり、戦略、戦術によって勢いが生じた正攻法部隊が大いに敵軍の攻撃に耐えた時、獲物となる敵部隊が出現するのである。

④獲物となる敵部隊を出し尽くさせることに力を尽くせば敵軍が大いに衰えることを理解している将軍は、戦略、戦術を使って敵軍を怖がらせて獲物となる敵部隊を出撃させるのであり、旺盛な士気が切れ味の鋭い武器と化した奇策部隊は、獲物となった敵部隊を傷つけて大いに攻め取るが、自国に服従させることができるのである。
其二3-3
①常日頃、思いやりを持って軍隊を治める将軍は、兵役は重ねて徴用することなく、兵糧を重ねて輸送させない。

②特に軍隊の資力を大切する将軍は、戦争を繰り返すことが無く、兵士達は食糧を大いに貯蓄することを繰り返す手立てとするのである。

③兵士達の働きを賛美する将軍は、必ず兵士達が大いに公用の兵役や労役に従事すれば、その内容を重ねて名簿に追記するのであり、租税を繰り返すこと無く豊かにさせるのである。

④多くの資力を備えた敵軍を衰えさせようとすれば、諸侯を動員して敵国に辺境・国境を守らせる戦略を大いに繰り返すことを手立てとし、租税の施行を大いに繰り返させるのである。
其二3-4
①資力は国に求め、兵糧は敵を利用する。だから、兵士達は満足できるだけ食べることができるのである。

②敵国の町、村、里、集落を経由して奪い取ることで、敵を兵糧の頼みとする。敵国の町、村、里、集落が衰えているならば、敵国から奪い取って陣地にした時、その敵人民に食事を与えれば、満足して自軍の占領を許すのである。

③陣地を治める者達を定住させて、敵国だった町、村、里、集落において自軍の食糧を増し加える。駐屯して自軍の兵士達が耕作すれば、陣地にした町、村、里、集落の人民は満足し、自国の統治を許すのが道理である。

④陣地にした町、村、里、集落を統治して維持することに力を尽くすのであり、敵を順応させて兵糧を求めるのである。町、村、里、集落の人民と馴染みになれば、自軍への編制を実践して兵士数を多くするべきである。
其二3-5
①兵糧を輸送するお手本に従って国家を困窮した状態に至らせる将軍は、敵国の町、村、里、集落に近づかず、遠方の国まで兵糧を輸送させる者である。敵国の町、村、里、集落に近づかず、遠方の国まで兵糧を輸送させる将軍は、すぐに多くの人民が財産や衣食に欠乏する。

②敵人民が自軍の占領を許すお手本に従って困窮している敵国の町、村、里、集落に赴く将軍は、気持ちが通じ合う諸侯に知らせて敵軍の進路を妨害するものである。気持ちが通じ合う諸侯に知らせて敵国の町、村、里、集落を奪い取れば、姓を持った敵国の有力者の多くが困窮した状態になる道理である。

③財産や衣食に欠乏している敵国の町、村、里、集落が豊かに変わる時は産物をつくる技能に優れた者が存在するが、敵人民が技能に優れた者を避ければ長期間に渡って産物をつくる技能を捧げる。長期間に渡って産物をつくる技能を捧げる優れた者を疎遠にするならば、多くの人民は学問や能力が乏しいのである。

④陣地にした町、村、里、集落において、学問や能力が乏しい敵人民を尊び従わせて治める将軍は、自軍を疎遠にする敵人民の年貢等を免除するのである。年貢等を免除するならば、財産や衣食が欠乏している多くの人民を敵国から寝返らせるのである。
其二3-6
①大軍十万に接近して回りを囲む商人は物品を高く売るだろう。だから、財貨はすっかりなくなる。戦争は、急いで敵国の町、村、里、集落に到達することをお手本とする。

②大軍十万をぐるりと一周してから接近してくる者が禄位の高い人物であることを故意に顕示する時は、将軍の首をはねて殺害する悪事がある。その者が、将軍と肩を並べることを迫れば、命懸けの戦地となる小さな土山でこき使うことをお手本とする。

③陣地にした町、村、里、集落において、上級武将を取り囲んで親しくしようとする人民は利益のために裏切るのであり、その人民の財貨がすっかりなくなれば災いとなる。陣地にした町、村、里、集落で生活上の困難が迫れば、公用の労役に服させることをお手本とする。

④上級武将が寵愛している者を侍らせていることをひけらかせば、財貨を限界まで出し尽くす原因となるだろう。その上級武将に対しては、陣地にした町、村、里、集落に到達すれば労役を迫ることがお手本である。
其二3-7
①広い平野の真ん中で兵士達の士気が尽き果てれば、家族を想って上辺だけの心となり、服従していない兵士達は士気が殺がれて離反することを励み努力するのであり、六割の兵士達がこのような心境になって軍隊を離れるだろう。

②兵士達の士気が尽き果てれば被害を受ける原因となり、兵士達の内心は敵国にびくびくすることになり、生存しようとする多くの兵士達は無駄口が多くなり、兵士達の十分の一は敵国の間者となって自軍を離れるだろう。

③軍隊に腰を折り曲げている下僕が充満すれば、広い平野にある大きな丘を重んじて野営する場所として、全ての消耗した兵士達を保養するのであり、このように軍隊を離れようと考えた六割の兵士達と敵国に寝返ろうとした兵士達にその考えを捨てさせれば、軍隊は完全な状態となる。

④悪口を言って兵士達を寝返らせようとする下僕は、自軍内部と親しく交流する間者であり、自軍に虚弱な状態が生じる原因となるため抑えつけて捕虜にして、保養して冗舌に変わるように励み努めれば、敵の間者の任務を殺すと同時に敵将軍の考えていた計画を殺して自国と敵国を完全な状態に保つだろう。
其二3-8
①国家の公務である戦争のために経費を使う時は、敵国を突き進む戦車と敵軍を退ける馬があり、鎧と兜があり、矢と弓があり、矛と楯があり、覆い防ぐ大きな盾があり、主に農耕に利用する大きな牛と立派だと思わせる上級武将の戦車があり、経費の七割をこのような内訳で失う。

②国家の公務で戦争に対して力を尽くせば、馬は疲労して、鎧、兜、矢、弓、矛、楯、覆い防ぐ大きな盾、戦車は壊れて、大きな牛はいなくなり、全兵士数の七割はたぶん失うだろう。

③国家の公務として侵略戦争に赴く時は、各部隊の動かし方を分析して敵国から町、村、里、集落を奪って陣地を増やせば、鎧と兜、矢と弓、矛と楯、覆い防ぐ大きな盾、主に農耕に利用する大きな牛と立派だと思わせる上級武将の戦車は完全な状態なままであり、敵国は領地の七割を失って何もできない状態になるだろう。

④自国の朝廷は、敵国から町、村、里、集落を奪い取って陣地にすれば、兜と鎧を着た敵兵を集めて罪を許し、陣地開拓に貢献した自軍の兵士達には、矛と弓は正しく真っすぐにして欄干の横木や手摺りにして、牛を飼っている小さな土山には障壁と物見櫓を設置し、その陣地の広い範囲に水車で水を汲む設備を完備することに力を尽くさせ、その兵士達には奪い取った陣地に住まいを構えさせるのである。
其二3-9
①戦略を理解している将軍は、必ず敵国の町、村、里、集落を自軍が生活する拠り所とする。敵国で得る穀類一鍾の価値は、自国から輸送する兵糧二十鍾分に匹敵し、敵国で得る豆がらと藁一石の価値は、自国から輸送する豆がらと藁二十石分に匹敵する。

②自軍に兵糧を送り届ける任務と敵に識別された輸送部隊は、敵の獲物となって災いが生じる。攻撃してくる敵兵一人に輸送部隊の気持ちを集中させて輸送を阻んだ時は自国の兵糧二十鍾分が、ひとまとまりの大きな豆がらと藁が出現した時は自国の豆がらと藁二十石分が、まさに輸送部隊の荷物から消えるだろう。

③自国から兵糧を送り届けさせれば災いが生じると理解している将軍は、陣地にした町、村、里、集落において耕作することに力を尽くす。陣地にした町、村、里、集落で耕作する時、穀類一鍾分を種子にすれば自軍は兵糧二十鍾を得るのであり、その豆や稲の茎を大きくすることだけに集中すれば、自軍はきっと豆がらと藁を二十石分得るだろう。

④投資して利益を得る道理を理解している将軍は、陣地にした町、村、里、集落を必ず扶養してから耕作する。自軍の兵糧二十鍾分で扶養して、陣地にした町、村、里、集落で穀類一鍾分の種子を使って耕作し、自軍の豆がらと藁二十石分で扶養して、大きくなった豆や稲の茎をまとめる。
其二4-1
①故意に敵を殺す者は叱責するのであり、歯向かう敵を攻め取って利点を得る者は褒美の品を与えるのである。

②叱責する理由は敵兵を減らすことであり、攻め取った敵兵が口を滑らせる態度に変わる要因は金品で買収することにあるのである。

③敵兵を減らして敵軍を衰えさせれば敵兵を怒らせるのであり、攻め取った敵兵が価値ある金品で口が滑る態度に変われば敵の実情を引き出すのである。

④敵兵を怒らせる災いは相手を殺すことに敵兵の心が向かうことであり、攻撃するべき敵の実情を引き出せば、価値のある金品を利点として敵を寝返らせる奇策部隊の間者を使うのである。

⑤相手を殺すことに心が向かった敵兵達は必ず奮い立つのであり、価値のある金品を利点として敵を寝返らせる奇策部隊の間者は、歯向かう敵に価値のある金品を選ばせるのである。

⑥奮い立つ敵軍は大義名分を持って悪事を働いた自国を討伐しようとするのであり、価値のある金品を選んだ敵兵は利益を強く求める者に変わるのである。

⑦大義名分を持って悪事を働いた自国を討伐しようとする敵軍は勢いが強くなるのであり、価値のある金品を強く求める者から奇策部隊の間者が攻撃するべき敵の実情を引き出すのである。

⑧勢いある敵軍を招いても、取得した敵兵から引き出した敵軍の虚を奇策部隊の間者が攻撃すれば、褒美の品に心が向かう自軍の正攻法部隊は奮い立つのであり、敵軍を衰えさせて撤退させるのである。
其二4-2
①だから、敵兵達を恐れ震えさせて、敵戦車十台を手に入れて献上するに至れば、敵戦車を手に入れた兵士に褒美を与えて、さらに敵戦車の旗印を自軍の旗印に取り替えて、その戦車と自軍の戦車を組み合わせて敵国への進攻に使用し、攻め取った敵兵達には衣食住を供給して生活の面倒をみれば従順な態度に変わる。この教えを消化して身につければ、敵を抑えて自軍の強大さが増加する。

②敵兵達を恐れ震えさせる戦術は、敵の十倍の戦車を備えて進攻して自軍の方が優勢だと認めさせるのである。戦術を実現した兵士は、攻め取った敵兵達に褒美を与えることで償い、手に入れた敵戦車十台は自軍の旗印を飾って取得した敵操縦士達に走行させ、取得した敵兵達が尽き果てた時は自軍の兵士達と一緒に保養する。取得した敵兵達を残らず順応させて自軍の兵士として編制すれば、さらに自軍を強大にする。

③敵兵達を恐れ震えさせる戦術を実現して、完全な状態を保っている敵戦車の集計を行う時は敵戦車を集合させるのであり、取得した敵兵達の中でも自軍に服従する敵兵を褒め称えて尊重して、敵戦車の旗印を自軍の旗印に取り替えた敵兵を目立つように表彰するならば、集合させた敵戦車にその敵兵を登らせて他の敵兵達に共有させれば、旗印に取り替えた敵兵を喜ばせることができる。自軍が旗印に取り替えた敵兵を担ぎ上げれば旗印に取り替える敵兵が次々と出現するのであり、頑固な敵兵に正確な判断を理解させたのである。

④敵戦車十台を手に入れた時に衰えて恐れ震える敵操縦士は、敵軍の上官を尊重して採用すれば自軍に服従する者達であり、敵戦車を集合させた時に自軍がこの機会を利用すれば、上官を取り巻く、衰えて恐れ震える敵兵達を自軍で治療するに至り、敵戦車の旗印を自軍の旗印に取り替えさせることができる。敵軍の上官に正確な判断を理解させれば、恐れ震えて硬直している敵兵達を自軍に加えることができる。

⑤自国に仕返ししたい感情に揺れ動く敵兵達はその感情が極限に達すれば、戦車を具備して自軍の上級武将と見なした相手を虐げようとするのであり、自軍が敵の旗印を自軍の旗印に取り替えさせた敵戦車で巡回して上級武将の隙を狙って殺害しようとするが、その自軍に仕返ししたい敵兵達に褒美を与えて恩恵を施せば、彼らを蓄えさせて慎ませることができる。さらにあり余る褒美で豊かにさせれば、自軍に仕返ししたい敵兵達を抑えることができる。

⑥自国に仕返ししたい敵兵達に恩恵を施せば、自国に仕返ししたい感情に揺れ動く敵兵達が満足して自軍に服従した兵士となり、真心のある法規や決まりを認めて自国の君主を褒め称えるのである。戦車は敵軍の旗印に入れ替えることができるため、敵戦車に入り混じって敵軍の虚を利用して尽き果てさせることができるのであり、将軍が一緒に間者任務の修練をして敵軍に赴かせる。正確な判断を習熟させて敵に忍ばせれば自軍を援助することに励む。

⑦任務を実行して敵戦車を恐れ震えさせる間者は敵戦車十台を手に入れて、敵軍から手に入れた戦車や兵士を献上して褒美を与えられるのである。将軍は敵軍から戦果を挙げた証としてその間者を目立つように表彰すれば、他国の人民が混じっている兵士達にこの機会を利用して進攻させることができて敵軍を尽き果てさせるのであり、将軍は、敵軍を尽き果てさせた兵士達に対して両手を胸の前で重ね合わせて敬意を表して保養するのである。敵軍を既に滅ぼされた状態に至らせた後に戦うこと消化して身につければ、自軍に利点をもたらすことができてあり余る。

⑧だから、敵兵達を恐れ震えさせて敵兵と敵戦車十台を手に入れて、自国の君主を攻め取った敵兵達に褒め称えさせる兵士を尊重して任用するのである。他国の人民が混じっている兵士達で敵領地に進攻して戦争が終了するに至れば、その敵領地の旗を自国の旗に取り替えることができ、将軍が衣食住を供給して生活の面倒をみるに至るのである。強い国に至る教えを消化して身につければ、敵国よりも自国を優勢にすることができて軍隊の勢いはみなぎるのである。
其二5-1
①戦争は必ず勝利を重視するが、戦地に長く留まりたくはない。

②将軍が、戦地で大いに長く留まることを重視して敵軍を抑えても、自軍は衰えているのである。

③大いに衰えた自軍は既に滅びた状態であり、敵将軍は自軍を戦地に長く引き止めることを重視するだろう。

④自軍を戦地に長く引き止めることを重視しない時、敵将軍は衰えた自軍を大いに打ち破るだろう。

⑤衰えた自軍を大いに打ち破ろうとする敵将軍は、武器で相手を殺す戦術を重視した結果、戦地に長く留まる。

⑥敵軍が戦地に長く留まれば、可愛がる者を武器で殺して敵将軍に災いを生じさせ、大いに無気力にさせる。

⑦敵将軍を大いに無気力にさせて、長期間に渡って敵将軍が考えていた戦略、戦術を強制的に取ることを重視するのである。

⑧敵将軍が考えていた戦略、戦術を強制的に取れば、敵将軍を戦地に長く留まらせるのであり、自軍の将軍は大いに敵軍を抑えるだろう。
其二5-2
①災いを理解して戦争に赴く将軍は、人民の生活を偵察して、国家に対して、どこに危害を与える災いがあるかを主張するのである。

②将軍は、災いに繋がる原因があると感じれば、役人に命じて人民が生活する町、村、里、集落で従事させて治めるに至り、リーダーとなって物事を処理する役人を配置して災いに繋がる原因を正すのである。

③リーダーとなって物事を処理する役人は、人民の生活を支える職務を主管し、災いする人民と交流して馴染みになり、危害を与えようとする自国に仕返ししたい人民は町、村、里、集落に封じるに至るのである。

④人民が生活する町、村、里、集落に赴き、人民の生計を偵察して扶養すれば、自国に仕返ししたい人民が自国に順応する道理である。危険と思う自国に仕返ししたい人民は、養うことで自国に宿らせるのである。

⑤自国に順応させる道理によって人民が生活する町、村、里、集落を治める役人は、自国に仕返ししたい人民を服従させて、主管する人民の名簿に記録するのであり、人民の名簿を重要視してきちんと運用すれば国家は平穏になるのである。

⑥常日頃から人民の名簿を記録すれば、役人は無事に町、村、里、集落を維持するに至り、戦争に赴く将軍と交流する時には、役人が危険と思う自国に仕返ししたい人民を主張するのである。

⑦将軍が、自国に仕返ししたい人民を識別する理由は、人民が生活する町、村、里、集落に赴いて、どこに自国に仕返ししたい人民がいるかを重要視して、人民の名簿を継承して使用することにある。

⑧だから、自国に仕返ししたい人民が存在することを理解している将軍は、町、村、里、集落に自国に仕返ししたい人民を封じて落ち着かせ、人民の名簿を主管する役人にきちんと運用させるのであり、将軍はこの名簿を使って軍隊を統率するのである。