其九1-4
絶水、必遠水。
jué shuǐ、bì yuǎn shuǐ。
解読文
①河川を横切り渡れば、必ず河川から遠く離れるのである。 ②河川から遠く離れて自軍の立場を確かにして、河川を横切り渡る敵軍を水没させるのである。 ③河川を横切り渡る敵軍を水没させれば、自国で収入がどんどん増えることを保証して水没させた敵兵達を敵国から離反させるのである。 ④自国で収入がどんどん増えることを保証して水没させた敵兵達を敵国から離反させれば、どんどん兵士数を増やして敵軍を超越するのである。 |
書き下し文
①水を絶(わた)れば、必ず水より遠(とお)くするなり。 ②水より遠(とお)くして必して、絶(わた)るものを水にするなり。 ③絶(わた)るものを水にすれば、水なすこと必して遠(とお)ざけしむなり。 ④水なすこと必して遠(とお)ざけしめば、水なして絶(ぜっ)するなり。 |

<語句の注>
・1つ目の「絶」は①②③川を横切り渡る、④超越する、の意味。 ・1つ目の「水」は①河川、②③水没させる、④水の流れ、の意味。 ・「必」は①必ず~しなければならない、②立場を確かにする、③④保証する、の意味。 ・「遠」は①②へだたりが大きい、③④疎遠にする、の意味。 ・2つ目の「水」は①②河川、③④水の流れ、の意味。 |
<解読の注>
・中國哲學書電子化計劃「銀雀山漢墓竹簡(孫子)」の原文は「絶水・・・」と最初の二字以外は欠落しているため、孫子(講談社)の原文に従った。 ・この句には四通りの書き下し文と解読文がある。①②③④と付番して、それぞれについて解説する。 <①について> ・特に無し。 <②について> ・「絶るもの」の直訳は“川を横切り渡る者”となる。これは来襲してきた敵軍を指すと考察。結果、「河川を横切り渡る敵軍」と解読。③も同様に解読。 <③について> ・2つ目の「水」の“水の流れ”は、其四4-4④2つ目の「洫」の「耕作地にある用水路」を指すと考察すれば、其四4-4④「増えることがない敵国での収入とどんどん増える自国での収入を比較させて攻め取った敵部隊を自国に寝返らせて採用する」に関連すると解釈できる。結果、「自国で収入がどんどん増える」と解読。④も同様に解読。 ・「遠」の“疎遠にする”は、「自国で収入がどんどん増える」条件によって水没させた敵兵達を敵国から離反させることと考察。結果、使役形で「水没させた敵兵達を敵国から離反させる」と補って解読。④も同様に解読。 <④について> ・1つ目の「水」の“水の流れ”は、其四4-4①「洫」の「耕作地にある用水路」を指すと考察すれば、其四4-4①「どんどん兵士数が増えていく」状態を表現していると解釈できる。結果、話の流れに合わせて「どんどん兵士数を増やす」と解読。 |
