必して死すこと可くものは殺すなり。必して生なるを可くものは虜にせらるなり。速くものの忿ること可くものは侮られるなり。廉なる潔きものを可くものは辱めらるなり。民を愛でること可くものは煩なるなり。

其八3-2

必死可殺。必生可虜。忿速可侮。潔廉可辱。愛民可煩。

bì sǐ kĕ shā。bì shēng kĕ lǔ。fèn sù kĕ wŭ。lián jié kĕ rŭ。ài mín kĕ fán。

解読文

①自説にしがみついて死刑に処すことを許容する将軍は、兵士達の士気を殺ぐのである。自説にしがみついて兵士達の未成熟さを許容する将軍は、兵士達を生け捕りにされるのである。自軍に迎え入れた元敵兵が憤る状態を許容する将軍は、他の兵士達から見下げられるのである。潔白な心構えで間者を使わない高尚な者を許容する将軍は、兵士達から貶められるのである。兵士達を可愛がることを許容する将軍は、軍隊を掻き乱すのである。

②兵士達の士気を殺げば、必ず軍隊が衰えた状態で敵軍と対峙するのである。生け捕りにされた元兵士達は、必ず敵兵となって出現して対峙するのである。将軍を見下げる兵士達は、憤る元敵兵に引き寄せられて対峙するのである。将軍を貶める兵士達は、あっさりとした態度でわずかに対応するのである。軍隊を掻き乱す将軍は、可愛がる兵士を惜しんで敵軍と対峙するのである。

③軍隊が衰えた状態で敵軍と対峙した時は、必ず兵士数が減少するのである。敵兵となって出現した元兵士達と対峙した時は、必ず奴隷になっているのである。憤る元敵兵に引き寄せられた兵士達が他の兵士達と対峙した時は、見下げられて憤るのである。あっさりとした態度でわずかに対応する兵士達は、正しいと信ずる主義や意見を堅く守って変えない将軍を侮っているのである。可愛がる兵士を惜しんで敵軍と対峙する将軍は、他の兵士達を悶え苛立たせるのである。

④敵軍と対峙した時に兵士数が減少する理由は、兵士達が逃亡を決行したからである。敵兵となって対峙した元兵士達が奴隷になっている理由は、命を保証されたからである。憤る元敵兵に引き寄せられた兵士達が対峙した他の兵士達に憤る理由は、変わり身の速さをからかわれたからである。あっさりとした態度でわずかに対応する兵士達が将軍を侮っている理由は、表面的な戦略、戦術の知識だけで実践できる知恵が無いと評価しているからである。可愛がる兵士を惜しんで敵軍と対峙する将軍に他の兵士達が悶え苛立つ理由は、可愛がる兵士を覆い隠すからである。

⑤兵士達が逃亡を決行することを許せば、対峙している敵軍に討伐されるのである。命を保証されて敵奴隷となった元兵士達が対峙する自軍は敵である。変わり身の速さをからかわれた兵士達は、対立する他の兵士達を恨むのである。将軍は表面的な戦略、戦術の知識だけで実践できる知恵が無いと評価している兵士達は、対立するその将軍から不当な扱いをされるのである。可愛がる兵士を覆い隠して敵軍と対峙する将軍は、他の兵士達に面倒をかけるのである。

⑥敵軍に自軍を討伐させることを許せば、必ず兵士達を死なせるのである。命を保証されて敵奴隷となった元兵士達に対峙する自軍の兵士達はぎこちなくなるのである。変わり身の速さをからかわれて恨みを持った兵士達は、対立する他の兵士達を呼び出して虐げるのである。表面的な戦略、戦術の知識だけで実践できる知恵が無いと評価されて不当な扱いをする将軍は、対立する兵士達を正攻法部隊の先頭に配置して始末するのである。可愛がる兵士を覆い隠して他の兵士達に面倒をかける将軍は、対峙する敵軍よりも可愛がる兵士に執着させるのである。

⑦兵士達を死なせることを許せば、必ず自軍は零落するのである。敵奴隷となった元兵士達に対峙してぎこちなくなった自軍の兵士達は、必ず生け捕りにされるのである。対立して虐げられた兵士達は、変わり身の速さをからかわれて恨みを持った兵士達に引き寄せられるのである。対立する兵士達を正攻法部隊の先頭に配置して始末する将軍は、兵士達から貶められるのである。他の兵士達に、対峙する敵軍よりも可愛がる兵士に執着させれば、自軍を掻き乱すのである。

⑧零落した自軍は、自説にしがみついて立て直そうとしても絶体絶命である。生け捕りにされた元兵士達は、怪我が治った時に敵兵という立場を確かにして出現するのである。憤る元敵兵に引き寄せられた兵士達を改心させようとしても見下げられるのである。兵士達から貶められる将軍を正しく改心させようとしても、正しいと信ずる主義や意見を堅く守って変えないのである。兵士を可愛がって自軍を掻き乱す将軍を改心させようとしても、可愛がる兵士に執着するのである。
書き下し文
①必して死すこと可(き)くものは殺(ころ)すなり。必して生なるを可(き)くものは虜(とりこ)にせらるなり。速(まね)くものの忿(いか)ること可(き)くものは侮られるなり。廉(れん)なる潔(いさぎよ)きものを可(き)くものは辱(はずかし)めらるなり。民を愛(め)でること可(き)くものは煩(はん)なるなり。

②殺(ころ)せば必ず死して可(あ)たるなり。虜(とりこ)は必ず生じて可(あ)たるなり。侮るものは忿(いか)るものに速(まね)かれて可(あ)たるなり。辱(はずかし)めるものは潔(いさぎよ)くして廉(れん)なりて可(あ)たるなり。煩(はん)なるものは民を愛(お)しみて可(あ)たるなり。

③死して可(あ)たるに必ず殺(そ)ぐなり。生ずるものに可(あ)たるに必ず虜(とりこ)となるなり。速(まね)かれるものの可(あ)たるに侮られて忿(いか)るなり。廉(れん)なりて可(あ)たるものは潔(いさぎよ)きものを辱(はずかし)めるなり。愛(お)しみて可(あ)たるものは民を煩(はん)たらしむなり。

④可(あ)たりて殺(そ)ぐは死すこと必すればなり。可(あ)たるものの虜(とりこ)となるは生を必されればなり。可(あ)たるものの忿(いか)るは速(はや)きを侮られればなり。可(あ)たるものの辱(はずかし)めるは潔(いさぎよ)しと廉(れん)すればなり。可(あ)たるものに煩(はん)たるは民を愛(あい)とすればなり。

⑤死すこと必すれば可(あ)たるものに殺(さつ)されるなり。生を必されるものの可(あ)たるものは虜なり。速(はや)きを侮られるものは可(あ)たるものに忿(いか)るなり。潔(いさぎよ)しと廉(れん)するものは可(あ)たるものに辱(はずかし)めらるなり。愛(あい)として可(あ)たるものは民を煩(わずら)わすなり。

⑥殺(さつ)せしむこと可(き)けば必ず死(ころ)すなり。虜に可(あ)たるものは必ず生たり。忿(いか)るものは可(あ)たるものを速(まね)きて侮るなり。辱(はずかし)めるものは可(あ)たるものを廉(れん)にあらしめて潔(いさぎよ)くするなり。煩(わずら)わすものは可(あ)たるものより民に愛せしむなり。

⑦死(ころ)すこと可(き)けば必ず殺(おとろ)えるなり。可(あ)たりて生たるものは必ず虜(とりこ)にされるなり。侮らる可(あ)たるものは忿(いか)るものに速(まね)かれるなり。可(あ)たるものを廉(れん)にあらしめて潔(いさぎよ)くするものは辱(はずかし)めらるなり。可(あ)たるものより民に愛せしめば煩(はん)なるなり。

⑧殺(おとろ)えるものは必して可(い)えしめんとするも死たるなり。虜(とりこ)は可(い)えるに必して生ずるなり。忿(いか)るものに速(まね)かれるものを可(い)えしめんとするも侮られるなり。辱(はずかし)めらるものを廉(れん)に可(い)えしめんとするも潔(いさぎよ)くするなり。煩(はん)なるものを可(い)えしめんとするも民を愛するなり。
<語句の注>
・1つ目の「必」は①自説にしがみつく、②③きっと、④⑤決行する、⑥⑦きっと、⑧自説にしがみつく、の意味。
・「死」は①死刑に処す、②③草木が枯れる、④⑤消える、⑥⑦死なせる、⑧絶体絶命のさま、の意味。
・1つ目の「可」は①許す、②③④⑤対する、⑥⑦許す、⑧病気が治る、の意味。
・「殺」は①②命を絶つ、③④減少する、⑤⑥討伐する、⑦⑧零落する、の意味。
・2つ目の「必」は①自説にしがみつく、②③きっと、④⑤保証する、⑥⑦きっと、⑧立場を確かにする、の意味。
・「生」は①未成熟の、②③出現する、④⑤命、⑥⑦ぎこちない、⑧出現する、の意味。
・2つ目の「可」は①許す、②③④⑤⑥⑦対する、⑧病気が治る、の意味。
・「虜」は①生け捕る、②生け捕りにされた敵の者、③④奴隷になる、⑤⑥敵への蔑称、⑦生け捕る、⑧生け捕りにされた敵の者、の意味。
・「忿」は①②③④憤る、⑤⑥⑦恨む、⑧憤る、の意味。
・「速」は①迎え入れる、②③引き寄せる、④⑤移動などが非常に急なさま、⑥呼び出す、⑦⑧引き寄せる、の意味。
・3つ目の「可」は①許す、②③④⑤⑥⑦対する、⑧病気が治る、の意味。
・「侮」は①②③見下げる、④⑤からかう、⑥⑦虐げる、⑧見下げる、の意味。
・「潔」は①高尚なさま、②あっさりとしたさま、③節操のあるさま、④⑤品行が純正であるさま、⑥⑦けがれが無い、⑧節操のあるさま、の意味。
・「廉」は①潔白なさま、②③わずかなさま、④⑤みる、⑥⑦角立った部分、⑧正しい、の意味。
・4つ目の「可」は①許す、②③④⑤⑥⑦対する、⑧病気が治る、の意味。
・「辱」は①②名誉などを貶める、③④侮る、⑤⑥不当な扱いをする、⑦⑧名誉などを貶める、の意味。
・「愛」は①可愛がる、②③物惜しみする、④⑤覆い隠す、⑥⑦⑧執着する心、の意味。
・「民」は①庶民、②人、③庶民、④人、⑤庶民、⑥⑦⑧人、の意味。
・5つ目の「可」は①許す、②③④⑤⑥⑦対する、⑧病気が治る、の意味。
・「煩」は①②掻き乱す、③④悶え苛立つさま、⑤⑥面倒をかける、⑦⑧掻き乱す、の意味。
<解読の注>
・この句は中國哲學書電子化計劃「銀雀山漢墓竹簡(孫子)」の原文に従うが、孫子(講談社)の原文とも一致する
・この句には八通りの書き下し文と解読文がある。①②③④⑤⑥⑦⑧と付番して、それぞれについて解説する。

・この句について詳しく解説したページがあります。
孫子の名言「必死は殺され、必生は虜にされ、忿速は侮られ、廉潔は辱められ、愛民は煩わさる」の間違い

<①について>
・「死」は“死刑に処す”の意味を採用すれば、解読文⑥との繋がりがわかりやすくなる。しかし、戦闘態勢に入っていない行軍時等における文意を解釈し得ること、随所で記述されて重要視されている「真心のある法規や決まり」の真価を理解していない将軍に対する記述である可能性を考慮し、“死刑に処す”の意味が相応しいと判断した。

・「殺」の“命を絶つ”は、其七6-2①「帰」の“死ぬ”と同意と考察。其七6-2①「帰」で記述された「夕暮れ時の士気は殺がれる」を指すと解釈できる。結果、「兵士達の士気を殺ぐ」と解読。②も同様に解読。

・「速くもの」の直訳は“迎え入れる者”となる。これは敵国等から自国に寝返った兵士を指すと考察。結果、「自軍に迎え入れた元敵兵」と解読。

・「廉なる潔きもの」の直訳は“潔白な姿勢の高尚な者”となる。次に“潔白”とは、うしろ暗い所がない状態であり、うしろ暗い所は間者を使うことと解釈できる。結果、「潔白な心構えで間者を使わない高尚な者」と解読。なお、“高尚”とは、俗っぽくないことだが、逆を言えば俗世に疎いと解釈できる。つまり、人民の生活や心理について実態をよく知らない者と言える。

<②について>
・「死」の“草木が枯れる”は、其五2-3③「解読の注」で解説した「植物が枯れている冬は勢力を意図的に削いだ「おとり部隊」を表現している」から類推すれば、「軍隊が衰える」と解読できる。③も同様に解読。

・「生」の“出現する”は、生け捕りにされた兵士達が敵となって出現することと考察。結果、「敵兵となって出現する」と補って解読。

・「虜」の“生け捕りにされた敵の者”は、①「虜」で記述された「兵士達の未成熟さを許容する将軍は兵士達を生け捕りにされる」の意味を積み上げていると考察。結果、「生け捕りにされた元兵士達」と補って解読。⑧も同様に解読。

・「侮るもの」の直訳は“見下げる者”となる。これは①「侮」で記述された「元敵兵が憤る状態を許容する将軍は他の兵士達から見下げられる」の意味を積み上げていると考察。結果、「将軍を見下げる兵士達」と補って解読。

・「忿」の“憤る”は、①「忿」で記述された「自軍に迎え入れた元敵兵が憤る」の意味を積み上げていると考察。結果、「忿るもの」で「憤る元敵兵」と解読。⑧も同様に解読。

・「辱」の“名誉などを貶める”は、①「辱」で記述された「高尚な者を許容する将軍は兵士達から貶められる」の意味を積み上げていると考察。結果、「辱めるもの」で「将軍を貶める兵士達」と解読。

・「煩」の“掻き乱す”は、①「煩」で記述された「兵士達を可愛がることを許容する将軍は軍隊を掻き乱す」の意味を積み上げていると考察。結果、「煩なるもの」で「軍隊を掻き乱す将軍」と解読。

・「民」の“人”は、①「民」の「兵士達を可愛がる」の意味を積み上げていると考察。結果、「可愛がる兵士」と解読。④⑥⑦⑧も同様に解読。

<③について>
・「生ずるものに可たる」は、②「生じて可たる」で記述された「生け捕りにされた元兵士達は必ず敵兵となって出現して対峙する」の意味を積み上げていると考察。結果、「敵兵となって出現した元兵士達と対峙する」と解読。

・「速かれるものの可たる」は、②「速かれて可たる」で記述された「将軍を見下げる兵士達は憤る元敵兵に引き寄せられて対峙する」の意味を積み上げていると考察。また、この引き寄せられた兵士達が対峙する相手は、憤る元敵兵に引き寄せられなかった他の兵士達だと推察できる。結果、「憤る元敵兵に引き寄せられた兵士達が他の兵士達と対峙する」と解読。

・「廉なりて可たるもの」は、②「廉なりて可たる」で記述された「将軍を貶める兵士達はあっさりとした態度でわずかに対峙する」の意味を積み上げていると考察。結果、「あっさりとした態度でわずかに対峙する兵士達」と解読。

・「潔」の“節操のあるさま”は、“正しいと信ずる主義・意見を堅く守って変えない”意味であることを踏まえて、「潔きもの」で「正しいと信ずる主義や意見を堅く守って変えない将軍」と解読。

・「愛しみて可たるもの」は、②「愛しみて可たる」で記述された「軍隊を掻き乱す将軍は可愛がる兵士を惜しんで敵軍と対峙する」の意味を積み上げていると考察。結果、「可愛がる兵士を惜しんで敵軍と対峙する将軍」と解読。

<④について>
・「可たりて殺ぐ」は、③「可たるに必ず殺ぐ」で記述された「敵軍と対峙した時に必ず兵士数が減少する」の意味を積み上げていると考察。結果、「敵軍と対峙した時に兵士数が減少する」と解読。

・「死」の“消える”は、兵士数が減少する事態に陥った軍隊から兵士達が逃亡することと考察。結果、「死すこと」で「逃亡」と解読。⑤も同様に解読。

・「可たるものの虜となる」は、③「可たるに必ず虜となる」で記述された「敵兵となって出現した元兵士達と対峙した時は必ず奴隷になっている」の意味を積み上げていると考察。結果、「敵兵となって対峙した元兵士達が奴隷になっている」と解読。

・「可たるものの忿る」は、③「可たるに侮られて忿る」で記述された「憤る元敵兵に引き寄せられた兵士達が他の兵士達と対峙した時は見下げられて憤る」の意味を積み上げていると考察。結果、「憤る元敵兵に引き寄せられた兵士達が対峙した他の兵士達に憤る」と解読。

・「速」の“移動などが非常に急なさま”は、「憤る元敵兵に引き寄せられた兵士達」の変わり身の速さを表現していると考察。結果、「速き」で「変わり身の速さ」と解読。

・「可たるものの辱める」は、③「廉なりて可たるものは潔きものを辱める」で記述された「あっさりとした態度でわずかに対応する兵士達は正しいと信ずる主義や意見を堅く守って変えない将軍を侮っている」の意味を積み上げていると考察。結果、「あっさりとした態度でわずかに対応する兵士達が将軍を侮っている」と解読。

・「潔」の“品行が純正であるさま”の“純正”とは、“学術、理論を主として、応用や実利に及ばない”意味であるため、其三6-1⑥「表面的な戦略、戦術の知識」しかなく、其一2-6①「知」の「実践できる知恵」がない状態を指すと考察できる。結果、わかりやすく「表面的な戦略、戦術の知識だけで実践できる知恵が無い将軍」と補って解読。

・「可たるものに煩たり」は、③「愛しみて可たるものは民を煩たらしむ」で記述された「可愛がる兵士を惜しんで敵軍と対峙する将軍は他の兵士達を悶え苛立たせる」の意味を積み上げていると考察。結果、「可愛がる兵士を惜しんで敵軍と対峙する将軍に他の兵士達が悶え苛立つ」と解読。

<⑤について>
・1つ目の「可」の“対する”は、④「敵軍と対峙した時に兵士数が減少する理由は兵士達が逃亡を決行したからである」と話の流れに基づけば、「可たるもの」で「対峙している敵軍」と解読できる。

・「生を必されるもの」は、④「生を必される」で記述された「敵兵となって対峙した元兵士達が奴隷になっている理由は命を保証されたからである」の意味を積み上げていると考察。結果、「命を保証されて敵奴隷となった元兵士達」と解読。

・「速きを侮られるもの」は、④「速(はや)きを侮られる」で記述された「憤る元敵兵に引き寄せられた兵士達が対峙した他の兵士達に憤る理由は変わり身の速さをからかわれたからである」の意味を積み上げていると考察。結果、「変わり身の速さをからかわれた兵士達」と解読。

・3つ目の「可」の“対する”は、④「憤る元敵兵に引き寄せられた兵士達が対峙した他の兵士達に憤る理由は変わり身の速さをからかわれたからである」と話の流れに基づけば、「可たるもの」で「対立する他の兵士達」と解読できる。⑥⑦も同様に解読。

・「潔しと廉するもの」は、④「潔しと廉する」で記述された「あっさりとした態度でわずかに対応する兵士達が将軍を侮っている理由は表面的な戦略、戦術の知識だけで実践できる知恵が無いと評価している」の意味を積み上げていると考察。結果、「将軍は表面的な戦略、戦術の知識だけで実践できる知恵が無いと評価している兵士達」と解読。

・4つ目の「可」の“対する”は、④「あっさりとした態度でわずかに対応する兵士達が将軍を侮っている理由は表面的な戦略、戦術の知識だけで実践できる知恵が無いと評価している」と話の流れに基づけば、「可たるもの」で「対立するその将軍」と解読できる。

・「愛として可あたるもの」は、④「民を愛とす」で記述された「可愛がる兵士を惜しんで敵軍と対峙する将軍に他の兵士達が悶え苛立つ理由は可愛がる兵士を覆い隠すからである」の意味を積み上げていると考察。結果、「可愛がる兵士を覆い隠して敵軍と対峙する将軍」と解読。

<⑥について>
・「殺せしむこと可く」は、⑤「殺」で記述された「対峙している敵軍に討伐される」の意味を積み上げていると考察。結果、「敵軍に自軍を討伐させることを許す」と解読。

・「虜」の“敵への蔑称”は、⑤「命を保証されて敵奴隷となった元兵士達が対峙する自軍は敵である」に基づけば、自軍の敵となった「命を保証されて敵奴隷となった元兵士達」と解読できる。

・「忿るもの」は、⑤「忿」で記述された「変わり身の速さをからかわれた兵士達は対立する他の兵士達を恨む」の意味を積み上げていると考察。結果、「変わり身の速さをからかわれて恨みを持った兵士達」と解読。⑦も同様に解読。

・「辱めるもの」は、⑤「辱」で記述された「将軍は表面的な戦略、戦術の知識だけで実践できる知恵が無いと評価している兵士達は対立するその将軍から不当な扱いをされる」の意味を積み上げていると考察。結果、「表面的な戦略、戦術の知識だけで実践できる知恵が無いと評価されて不当な扱いをする将軍」と解読。

・4つ目の「可」の“対する”は、⑤「将軍は表面的な戦略、戦術の知識だけで実践できる知恵が無いと評価している兵士達は対立するその将軍から不当な扱いをされる」と話の流れに基づけば、「可たるもの」で「対立する兵士達」と解読できる。⑦も同様に解読。

・「廉」の“角立った部分”は、不当な扱いをする将軍が対立する兵士達を正攻法部隊の先頭に配置する文意と推察できるため、「正攻法部隊の先頭」と解読。⑦も同様に解読。

・「潔くす」の直訳は“けがれを無くす”となる。“けがれ”が「対立する兵士達」を指すと解釈すれば、不当な扱いをする将軍は対立する兵士達を正攻法部隊の先頭に配置することで戦死することを期待しているのだと考察できる。結果、「始末する」と言い換えた。⑦も同様に解読。

・「煩わすもの」は、⑤「煩」で記述された「可愛がる兵士を覆い隠して敵軍と対峙する将軍は他の兵士達に面倒をかける」の意味を積み上げていると考察。結果、「可愛がる兵士を覆い隠して他の兵士達に面倒をかける将軍」と解読。

・5つ目の「可」の“対する”は、⑤「可愛がる兵士を覆い隠して敵軍と対峙する将軍は他の兵士達に面倒をかける」と話の流れに基づけば、「可たるもの」で「対峙する敵軍」と解読できる。⑦も同様に解読。

<⑦について>
・「殺」の“零落する”は、落ちぶれる意味である。蛇足だが、零落には“草木の枯れ落ちる”の意味があり、「死」の“草木が枯れる”の枯れた状態で留まらず、落ちている状態を表現している。つまり、落ちた枯れ葉は蘇ることがないため戦死した兵士を表現している。自然の摂理に基づいて次に芽吹くまでの間は葉っぱが無い状態であり、「天」の教え(参考:其五2-3其五2-4其六6-6)に基づいて敵兵を取得しない限りは自軍に兵士がいない状態を説いたと解釈できる。

・2つ目の「可」の“対する”は、⑥「可」で記述された「命を保証されて敵奴隷となった元兵士達に対峙する」の意味を積み上げていると考察。結果、「敵奴隷となった元兵士達に対峙する」と解読。

<⑧について>
・1つ目の「可」の“病気が治る”は、零落した自軍を正常な状態に戻すことと考察。結果、「立て直す」と解読。

・2つ目の「必」の“病気が治る”は、「生け捕りにされた元兵士達」が生け捕りにされる時に負った怪我が治ることと考察。結果、「怪我が治る」と解読。

・2つ目の「必」の“立場を確かにする”は、⑤「命を保証されて敵奴隷となった元兵士達が対峙する自軍は敵である」に基づけば、「敵兵という立場を確かにする」と補って解読できる。

・3つ目の「可」の“病気が治る”は、「憤る元敵兵」に引き寄せられた兵士達を改心させることと考察。結果、使役形で「改心させる」と解読。

・4つ目の「可」の“病気が治る”は、「兵士達から貶められる将軍」の言動や考え方を改心させることと考察。結果、使役形で「改心させる」と解読。

・「潔」の“節操のあるさま”は、“正しいと信ずる主義・意見を堅く守って変えない”意味であることを踏まえて、「正しいと信ずる主義や意見を堅く守って変えない」と解読。

・「煩なるもの」は、⑦「煩」で記述された「他の兵士達に、対峙する敵軍よりも可愛がる兵士に執着させれば、自軍を掻き乱す」の意味を積み上げていると考察。結果、ここまでの内容を要約して「兵士を可愛がって自軍を掻き乱す将軍」と解読。

・5つ目の「可」の“病気が治る”は、「兵士を可愛がって自軍を掻き乱す将軍」の言動や考え方を改心させることと考察。結果、使役形で「改心させる」と解読。

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