善き古を胃する所き者は戦うなり、能は適う人をして前めて後れ使むなり、不いに相い及ぶなり。衆と寡は不いに相い恃むなり、貴と賤は不いに相い救うなり、上と下は不いに相い収めるなり、卒は離ねれば而ち不いに集んずるなり、兵を合わせて不いに斉うなり。

其十一1-12

所胃古善戰者、能使適人前後不相及也。衆寡不相恃、貴賤不相救、上下不相収、卒離而不集、兵合而不斉。

suǒ wèi gŭ shàn zhàn zhě、néng shǐ shì rén qián hòu bù xiàng jí yě。shū guǎ bù xiàng shì、guì jiàn bù xiàng jiù、shàng xià bù xiàng shoū、zú lí ér bù jí、bīng hé ér bù qí。

解読文

①思いやりがある昔のやり方を消化して身につけることができた将軍は軍隊の勢いで優劣を争うのであり、その有能な将軍は、気持ちが通じ合う諸侯を分岐路にある瞿地に布陣させて敵軍を里等の防衛に間に合わせないのであり、大いに力を合わせてそれぞれの目的地に到達するのである。正攻法部隊と奇策部隊は大いに互いに頼りにするのであり、禄位の高い武将と地位や身分の低い兵士は大いに互いに病気を治すのであり、君主と部下は大いに互いに制御するのであり、兵士達が隊列を組めば大いに軍隊は安定するのであり、元敵兵達と自軍の兵士達の考え方を合致させれば大いに軍隊は整うのである。

②敵軍とせめぎ合うことは趣があると賛美する考え方を消化して身につけた将軍は、能力があっても、前もって気持ちが通じ合う諸侯を働かせて分岐路にある瞿地に至らせる戦略を重視しないのであり、大いに敵軍に迫ることを選択するのである。正攻法部隊を頼りにしても奇正の戦術を選択しないのであり、将軍にへりくだる禄位の高い武将を選択して大いに援助するのであり、君主の顔色を伺って大いにへりくだって制御しようとするのであり、兵士達が隊列を組んでも軍隊を安定させることができず、元敵兵達と自軍の兵士達を区別して兵士達の考え方を合致させることができないのである。

③軍隊を整えることが無い敵将軍は、自軍と交戦すればその敵兵達を献上するのであり、ばらばらになる敵兵が出現して大いに一所に群がり寄った時、自軍の奇策部隊に攻め取られて大いに兵士数を減らすのである。禄位の高い敵武将が自軍を侮れば、力を合わせて防御していない正攻法部隊を頼りにして大いに自軍の兵士数を減らそうとするが、思いやりがある昔のやり方に熟練している自軍の将軍は、羊の集まりを導くように軍隊を動かすことができるのである。両軍が互いに大いに迫った直後に、敵部隊を誘き出すおとり部隊を出向かせるのであり、奇策部隊が隠れている場所に誘導した時、その敵部隊を攻め取って自国に寝返らせるのである。

④敵部隊を攻め取って自国に寝返らせることができる将軍は、時間を掛けて兵士数を増やして軍隊の勢いを盛大にする道理によって敵軍を恐れ震えさせるのである。徹底的に鍛えられた選り抜きの兵士を出向かせるのであり、思いを厚くする兵士達を指導して恐怖心は後回しにさせて、次第に敵里に迫るのである。頼りにする群臣は敵軍を取るに足りないと侮ることが無く、地位や身分の低い兵士を重視して大いに力を合わせて防御するのである。将軍は大いに整えた軍隊によって敵軍と交戦するのであり、ばらばらになって大いに一所に群がり寄る敵兵達を出現させるのである。生きたまま敵を取得する間者は、大いに観察して奇策部隊を出動させてその敵兵達を攻め取るのであり、自国に寝返らせることができるのである。
書き下し文
①善(よ)き古(いにしえ)を胃する所(べ)き者は戦うなり、能は適(したが)う人をして前(すす)めて後(おく)れ使(し)むなり、不(おお)いに相い及ぶなり。衆と寡(か)は不(おお)いに相い恃(たの)むなり、貴と賤(せん)は不(おお)いに相い救うなり、上と下は不(おお)いに相い収(おさ)めるなり、卒は離(つら)ねれば而(すなわ)ち不(おお)いに集(やす)んずるなり、兵を合わせて不(おお)いに斉(ととの)うなり。

②戦えば古なりと善(よみ)する所を胃する者は、能(よ)くするも、前(さき)に人を使いて適(ゆ)かしむこと後にするなり、不(おお)いに及ぶこと相(えら)ぶなり。衆を恃(たの)むも寡(すく)なくすること相(えら)ばざるなり、賤(いや)しくする貴を相(えら)びて不(おお)いに救うなり、上を相(み)て不(おお)いに下りて収(おさ)めんとするなり、卒は離(つら)ねるも集(やす)んぜしむこと而(あた)わず、兵を斉(わ)かちて合わすこと而(あた)わざるなり。

③兵を斉(ととの)えること不(な)き而(なんじ)は、合えば上(たてまつ)るなり、離れる卒ありて不(おお)いに集まるに、相い収められて不(おお)いに下るなり。貴の賤(いや)しめば、相い救わざる衆を恃(たの)みて不(おお)いに相い寡(すく)なくせんとするも、古(いにしえ)を善(よ)くする者は、能(よ)く戦(そよ)げしむなり。相い不(おお)いに及ぶ後に、適(ゆ)かしむ人を使わすなり、所に前(すす)めるに胃するなり。

④能(よ)く胃する者は、古くして善(よ)くする所に戦(おのの)かしむなり。不(おお)いなる人を使わしすなり、適(あつ)くするものを前(すす)めて後にせしめて相い及ぶなり。恃(たの)む衆は相い寡(か)とすること不(な)く、賤(せん)を貴(たっと)びて不(おお)いに相い救うなり。而(なんじ)は不(おお)いに斉(ととの)える兵に合うなり、不(おお)いに集まる卒(そつ)あらしむなり。上は、不(おお)い相(み)て下して収めるなり、而(よ)く離れしむなり。
<語句の注>
・「所」は①できる、②思い、③居所、④道理、の意味。
・「胃」は①②③④飲食したものを蓄え消化する器官、の意味。
・「古」は①昔のやり方、②趣のあるさま、③昔のやり方、④久しく時間を経たさま、の意味。
・「善」は①思いやりがあるさま、②賛美する、③熟練している、④妥当な処理をする、の意味。
・「戦」は①優劣を争う、②せめぎ合う、③揺れ動く、④(恐れや寒さのために)震える、の意味。
・「者」は①②③④助詞「もの」、の意味。
・「能」は①有能な人、②能力がある、③④~することができる、の意味。
・「使」は①使役形、②働かせる、③④出向かせる、の意味。
・「適」は①順応する、②至る、③心が向かう、④思いを厚くするさま、の意味。
・「人」は①②自分以外の他の人、③不特定の人、④優れた人物、の意味。
・「前」は①導く、②前もって、③導く、④前進する、の意味。
・「後」は①決まった時間に間に合わない、②重視しない、③動作や現象が終了した直後、④後回しにする、の意味。
・1つ目の「不」は①②③④大いに、の意味。
・1つ目の「相」は①力を合わせて、ある対象に、②選択する、③互いに、④次第に、の意味。
・「及」は①到達する、②③④迫る、の意味。
・「也」は①②③④断定の語気、の意味。
・「衆」は①②③多くの人々、④群臣、の意味。
・「寡」は①少し、②③減らす、④取るに足りないと侮る、の意味。
・2つ目の「不」は①大いに、②~しない、③大いに、④無い、の意味。
・2つ目の「相」は①互いに、②選択する、③④ある対象に、の意味。
・「恃」は①②③④頼りにする、の意味。
・「貴」は①②③禄位の高い人、④重視する、の意味。
・「賎」は①地位や身分の低い人、②地位や身分を下げる、③侮る、④地位や身分の低い人、の意味。
・3つ目の「不」は①大いに、②③~しない、④大いに、の意味。
・3つ目の「相」は①互いに、②選択する、③④力を合わせて、の意味。
・「救」は①治す、②援助する、③④防ぐ、の意味。
・「上」は①②国君、③献上する、④傍、の意味。
・「下」は①部下、②へりくだる、③欠ける、④出動させる、の意味。
・4つ目の「不」は①②③④大いに、の意味。
・4つ目の「相」は①互いに、②人相を見る、③ある対象に、④観察する、の意味。
・「収」は①②制御する、③④没収する、の意味。
・「卒」は①②③④兵士、の意味。
・「離」は①②陳列する、③二つ以上のものがばらばらになる、④背く、の意味。
・1つ目の「而」は①仮定表現の助詞、②~できる、③順接の関係を表す接続詞、④~できる、の意味。
・5つ目の「不」は①大いに、②~しない、③④大いに、の意味。
・「集」は①②安定する、③④一所に群がり寄る、の意味。
・「兵」は①②戦士、③④軍隊、の意味。
・「合」は①②合致させる、③④交戦する、の意味。
・2つ目の「而」は①仮定表現の助詞、②~できる、③④あなた、の意味。
・6つ目の「不」は①大いに、②~しない、③無い、④大いに、の意味。
・「斉」は①整ったさま、②弁別する、③④整える、の意味。
<解読の注>
中國哲學書電子化計劃「銀雀山漢墓竹簡(孫子)」の原文は前半「所胃古善戰者、能使適人前後不相及也」までしかないため、孫子(講談社)及び新訂孫子(岩波)を採用した。なお、孫子(講談社)は「収」を「扶」とするが、新訂孫子(岩波)及び“七書孫子”に従った。
・この句には四通りの書き下し文と解読文がある。①②③④と付番して、以下、それぞれについて解説する。

<①について>
・「胃」は“飲食したものを蓄え消化する器官”であり、飲食したものを自分の血や肉に変える器官である。そこで“飲食したもの”を“教え”と置き換えれば、“血や肉に変える”とは“(教えを)身につける”ことと解釈できる。結果、「消化して身につける」と解読。②も同様に解読。

・「戦」の“優劣を争う”は、其五5-4④「荒々しい軍隊の勢いで優劣を争って敵軍を劣勢にさせる優れた将軍は思いやりの才能がある」等の意味を積み上げていると考察し、「軍隊の勢いで優劣を争う」と解読。

・「適う人」の直訳は“順応した自分以外の他の人”となる。これは其七1-2②「先を争って敵里に陣取る将軍は、気持ちが通じ合う諸侯に文書を届けて分岐路にある瞿地に布陣させ、敵軍の進路を妨害してその前進を制止するのであり、敵将軍を思い悩ませて留まらせた状態で順調に敵里を奪い取って統治し、多くの陣地を手に入れるのである」の教えを実行する文意と解釈して、「気持ちが通じ合う諸侯」と解読。

・「前めて後れ使む」の直訳は“導いて決まった時間に間に合わせない”となる。これは其七1-2②「気持ちが通じ合う諸侯に文書を届けて分岐路にある瞿地に布陣させ、敵軍の進路を妨害してその前進を制止する」の教えを実行した結果、敵軍が里等の防衛に間に合わないことと考察。結果、「分岐路にある瞿地に布陣させて敵軍を里等の防衛に間に合わせない」と解読。

・「及」の“到達する”は、気持ちが通じ合う諸侯が瞿地に到達することによって、自軍は狙った敵里に到達することと考察。そのため、1つ目の「相」は“力を合わせて”と“ある対象に”の掛け言葉と解釈し、「相い及ぶ」で結果、「力を合わせてそれぞれの目的地に到達する」と解読。

・「衆」の“多くの人々”は、其五1-1①「衆」等同様に「多人数部隊」と考察、さらに其五1-3②「全軍の正攻法部隊は多人数部隊」の記述も踏まえて「正攻法部隊」と解読した。②③も同様に解読。

・「寡」の“少し”は、其五1-1①「寡」等同様に「少人数部隊」と考察、「衆」の「正攻法部隊」との対比によって「奇策部隊」と解読。

・「貴」の“禄位の高い人”と「賎」の“地位や身分の低い人”は、それぞれ漢字「貴」と「賎」で記述された其九2-1②「高い所に駐屯することで、兵士達を健康にして病気が離れていけば、正攻法部隊の兵士達は将軍を敬愛して庇うのである」の“将軍”と“正攻法部隊の兵士たち”を指すと考察。結果、それぞれ話の流れに合わせて「禄位の高い武将」、「地位や身分の低い兵士」と解読。

・「救」の“治す”は、其九2-1②「高い所に駐屯することで、兵士達を健康にして病気が離れていけば、正攻法部隊の兵士達は将軍を敬愛して庇うのである」に基づけば、将軍は兵士達の病気を治し、兵士達は将軍の心を治すと考察できる。この他、其十4-1①「隊長が、子供にまとわりつくように過剰に世話を焼いて兵士達を扱うならば、親しく付き従っている兵士達を率いて、わざわざ外界から遠く離れた山中の川に出かけるべきである」においても、隊長(将軍)が親しく付き従う兵士達を治し、兵士達が隊長(将軍)の人民を可愛がる病気を治す教えが説かれている。結果、「病気を治す」と簡潔に解読。②も同様に解読。

・「収」の“制御する”は、其三5-4①「部下が共同して望むことを献上すれば、君主による軍事の災いを抑制する」より部下が君主を制御することがわかる。

・「離」の“陳列する”は、ずらっと並べる意味であるため、兵士達の隊列を組むことと考察できる。結果、わかりやすく「隊列を組む」と言い換えた。②も同様に解読。

・「兵を合わす」の直訳は“戦士を合致させる”は、其七4-1③「自国に寝返る敵兵達は、自軍の兵士達と考え方を合致させる」の意味を積み上げていると考察。つまり、“戦士”は自国に寝返った元敵兵達と自軍の兵士達の両方となる。結果、「元敵兵達と自軍の兵士達の考え方を合致させる」と解読。

・「斉」の“整ったさま”は、元敵兵達と自軍の兵士達の考え方を合致させた結果と解釈すれば軍隊が整うことと考察できる。結果、「軍隊が整った状態になる」と補って解読。

<②について>
・「人」の“自分以外の他の人”は、①「人」の「気持ちが通じ合う諸侯」の意味を積み上げていると考察。結果、「気持ちが通じ合う諸侯」と解読。

・「適」の“至る”は、①「分岐路にある瞿地に布陣させる」の意味を積み上げていると考察。結果、使役形で「分岐路にある瞿地に至らせる」と補って解読。

・「寡」の“減らす”は、①「多人数部隊と少人数部隊は大いに互いに頼りにする」が奇正の戦術を指すと解釈できることから、敵軍の兵士数を減らすことと考察できる。結果、わかりやすく「寡なくすること」で「奇正の戦術」と解読。

・「賤しくする貴」の直訳は“地位や身分を下げる禄位の高い人”となる。これは将軍に対してへりくだる武将と考察できる。結果、「将軍にへりくだる禄位の高い武将」と解読。

・「上を相る」の直訳は“国君の人相を見る”となる。つまりは君主の顔色からご機嫌を伺うことと考察。結果、「君主の顔色を伺う」と解読。

・「兵」の“戦士”は、①「兵」同様に解釈して「元敵兵達と自軍の兵士達」と解読。

・「合」の“合致させる”は、①「合」同様に解釈して「兵士達の考え方を合致させる」と補って解読。

<③について>
・「上」の“献上する”は、敵軍が兵士達を自軍に献上することと考察。結果、「その敵兵達を献上する」と補って解読。

・「ばらばらになる敵兵が出現して大いに一所に群がり寄る」は、其九4-18⑤「隙間のある部隊は、多種多様な種類が入り混じって乱れている鳥達であり、獲物となる敵部隊である」に関連する記述と考察。

・「相い収めらる」の直訳は“ある対象に没収される”となる。これは、一所に群がり寄った敵兵達が自軍の奇策部隊の獲物となって攻め取られることを記述したと考察。結果、使役形で「自軍の奇策部隊に攻め取られる」と解読。

・「下」の“欠ける”は、奇策部隊に攻め取られた結果、兵士数を減らすことと考察。結果、「兵士数を減らす」と補って解読。

・「貴」の“禄位の高い人”は、①「貴」同様に解釈して、話の流れに合わせて「禄位の高い敵武将」と解読。

・「相い寡なくせんとする」の直訳は“ある対象を減らそうとする”となる。これは敵軍が自軍の兵士数を減らそうとすることと考察。結果、「自軍の兵士数を減らそうとする」と解読。

・「古」の“昔のやり方”は、①「古」の「思いやりがある昔のやり方」の意味を積み上げていると考察。結果、「思いやりがある昔のやり方」と補って解読。

・「戦」の“揺れ動く”は、其十一5-5⑥「羊の集まりを導くように軍隊を動かす」を指すと考察。結果、使役形で「羊の集まりを導くように軍隊を動かす」と解読。

・「適かしむ人」の直訳は“心を向かわせる不特定の人”となる。これは、其五4-6②「敵軍からの攻撃を誘う陣形等の型を使って敵軍から攻撃を受けた時におとり部隊が動き出せば獲物となる敵部隊が出現するのであり、そのおとり部隊が尽き果てていると見なして後から追ってくるのである」のおとり部隊を指すと考察。結果、「敵部隊を誘き出すおとり部隊」と解読。

・「所」の“居所”は、話の流れより奇策部隊が隠れている場所と考察できる。結果、「奇策部隊が隠れている場所」と補って解読。

・「胃」は“飲食したものを蓄え消化する器官”であり、飲食したものを自分の血や肉に変える器官である。そこで“飲食するもの”を“誘導してきた敵部隊”と置き換えれば、“血や肉に変える”とは“攻め取って自国に寝返らせる”ことと解釈できる。結果、ここでは「その敵部隊を攻め取って自国に寝返らせる」と解読。

<④について>
・「胃」は、③「胃」の「その敵部隊を攻め取って自国に寝返らせる」の意味を積み上げていると考察。結果、「敵部隊を攻め取って自国に寝返らせる」と解読。

・「古くして善くする所」の直訳は“久しく時間を経る妥当な処理をする道理”となる。これは其四4-5①「兵士数がどんどん増えていく軍隊を使って兵士数が減っていくしかない敵軍を思うままに操って抑える将軍は敵兵達を恐れ震えさせるのであり、あぜ道にある水の流れを停滞させれば充満した状態に達して隙間を生じて充満した水が決壊に至る現象をお手本にするのである」及び其四4-5②「敵兵達を恐れ震えさせる将軍は自軍を優勢にしてから敵軍を思うままに操るのであり、あぜ道にある水の流れを停滞させて充満して溢れるに等しくどんどん自軍の士気が旺盛になれば整った敵軍は虚を生じるのである」を指すと考察。つまり、兵士数を増やして士気を高めるのであり、その結果として其四4-5⑤「軍隊の勢いを盛大にした正攻法部隊で敵軍と対峙する」とあるため、「時間を掛けて兵士数を増やして軍隊の勢いを盛大にする道理」と解読。

・「不いなる人を使わして、適くするものを前めて後にせしむ」の直訳は“大いに優れた人物を出向かせて思いを厚くする者を導いて後まわしにさせる”となる。これは其九4-27⑥「徹底的に鍛えられた選り抜きの兵士は周到に行き届いており、敵国の人々を虐げる兵士達を指導して敬虔の心を継承して、純粋で精神力のある性格の兵士にするのである」及び其九4-27⑦「大いに純粋で精神力のある性格に達した兵士は、敵軍に対する恐怖心をさらけ出しても、敵里に向かって前進して恐怖心は後回しにして考えず、敵里に到着するのである」に基づけば、「徹底的に鍛えられた選り抜きの兵士を出向かせて、思いを厚くする兵士達を指導して恐怖心は後回しにさせる」と解読。

・「及」の“迫る”は、其九4-27⑦「大いに純粋で精神力のある性格に達した兵士は、敵軍に対する恐怖心をさらけ出しても、敵里に向かって前進して恐怖心は後回しにして考えず、敵里に到着するのである」に基づいて、「敵里に迫る」と補って解読。

・「相い寡とすること不し」の直訳は“ある対象を取るに足りないと侮ることが無い”となる。この“ある対象”は話の流れより敵軍と考察できる。結果、「敵軍を取るに足りないと侮ることが無い」と解読。

・「賎」の“地位や身分の低い人”は、①「賎」同様に解釈して、話の流れに合わせて「地位や身分の低い兵士」と解読。

・「不いに集まる卒」の直訳は“大いに一所に群がり寄る兵士達”となる。これは③「ばらばらになる敵兵が出現して大いに一所に群がり寄る」の意味を積み上げていると考察。結果、「ばらばらになって大いに一所に群がり寄る敵兵達」と解読。

・「上」の“傍”は、其十二2-3④「軍神である将軍は、生きたまま敵を取得する間者の養育係になるのである。間者を一人前にする時は、何度も戦争に連れ立って起用して、敵兵達の士気が殺がれる時機を識別することを指導して習熟させるのである」に基づき、将軍の傍にいる「生きたまま敵を取得する間者」と考察。結果、「生きたまま敵を取得する間者」と解読。

・「下して収める」の直訳は“出動させて没収する”となる。これは「ばらばらになって大いに一所に群がり寄った敵兵達」に対して、奇策部隊を出動させて攻め取ることと考察。結果、「奇策部隊を出動させてその敵兵達を攻め取る」と補って解読。

・「離」の“背く”は、「ばらばらになって大いに一所に群がり寄った敵兵達」を自国に寝返らせることと考察。結果、「自国に寝返らせる」と解読。

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