卒に之るに以せば撃つ可しと吾は知るも、而れども敵の撃たざる可に之かしむ知不ければ、之は勝えるも半たるなり。

其十5-1

知吾卒之可以擊、而不知敵之不可擊、勝之半也。

zhī wú zú zhī kĕ yǐ jī、ér bù zhī dí zhī bù kĕ jī、shèng zhī bàn yĕ。

解読文

①戦地の型「険」に該当する高く険しい山に到達した時、戦地の型「険」を占拠すれば敵軍を容易く打ち破れるという知識が将軍にあっても、敵軍が攻めてこない利点によって敵軍をその場から離れさせる知恵が無ければ、自軍の正攻法部隊は、敵軍の攻撃に持ち堪えても不完全な状態となるのである。

②自軍の正攻法部隊が尽き果てて不完全な状態となった時は、奇正の戦術を行って敵兵を攻め取るべきであるという知識が将軍にあっても、敵軍から大いに獲物となる敵部隊を出現させて断ち切ることができる知恵が無ければ、有利に戦える戦地に自軍を配置していても、自軍の正攻法部隊から逃亡する部隊を出現させるのである。

③逃亡する部隊の出現を終了させる時は、褒賞を使って断ち切るという知識が将軍にあっても、敵軍から攻め取った時に歯向かう敵兵達を大いに服従させる知恵が無ければ、歯向かう元敵兵達は組織化された反乱分子となって自国へ仕返ししようとするのである。

④自国へ仕返ししようとする元敵兵達は、人民の生活を支える役人を使う利点によって仕返ししたい思いを断ち切らせるという知識が将軍にあっても、歯向かう元敵兵達を大いに心変わりさせる年貢等を免除する利点によって仕返ししたい思いを断ち切らせる知恵が無ければ、歯向かう元敵兵達は忍んだ状態で組織化された反乱分子となるのである。

⑤自国へ仕返ししようとする元敵兵達全てに仕返ししたい思いを断ち切らせる将軍は、年貢等を免除する利点を使って防ぐ知恵があるのである。人民の生活を支える役人を使って仕返ししたい思いを断ち切らせる時は、災いを起こした元敵兵達を大いに名簿を使って記録することで大いに改心させるのであり、反乱組織となった歯向かう元敵兵達を抑制するのである。

⑥大いに知恵のある将軍は、抑制した元敵兵達に対してどんどん増える収入という利点を使うことで敵国への未練を断ち切って自国に服従させるのである。災いを起こした元敵兵達は、敵軍の兵士達と対峙させること無く接点を断ち切って、防御する正攻法部隊の中隊の真ん中に配置して抑制するのである。

⑦知恵のある将軍は、災いを起こした元敵兵達を真ん中に配置した中隊全てを防御させて、攻めること無く敵軍と対峙させるのである。大いに攻撃されると感じた敵兵達は、大いに敵軍から断ち切って分断させることができるのであり、分断されて不完全になった敵兵達は既に滅びた状態となるのである。

⑧知恵のある将軍は、戦地の型「険」で防御した正攻法部隊によって、敵兵達に「自軍に殺される」と考えさせることができるのである。大いに獲物となる敵部隊を識別した奇策部隊は、分断されて不完全になった敵兵達の周囲を取り囲んで抑えることを大いなる利点とし、容易く打ち破るのである。
書き下し文
①卒(そつ)に之(いた)るに以(な)せば撃つ可しと吾は知るも、而(しか)れども敵の撃たざる可に之(ゆ)かしむ知不(な)ければ、之は勝(た)えるも半たるなり。

②之の卒(お)わるに、以(な)して撃(げき)す可しと吾は知るも、而(しか)れども敵より不(おお)いに之あらしめて撃つ可き知不(な)ければ、勝(しょう)におらしむも之は半なるものあらしむなり。

③之あるを卒(お)わらしむに、可を以(もち)いて撃つと吾は知るも、而(しか)れども撃(げき)すに敵する之を不(おお)いに可(よ)くせしむ知不(な)ければ、之は半たりて勝たんとするなり。

④之は、卒(そつ)を以(もち)いる可に撃たしむと吾は知るも、而(しか)れども敵を不(おお)いに之(ゆ)かしむ可に撃たしむ知不(な)ければ、之は勝(た)えて半たるなり。

⑤之を卒(ことごと)く撃たしむ而(なんじ)は、可を以(もち)いて吾(ふせ)ぐ知あるなり。之をして撃たしむに、敵を不(おお)いに知りて不(おお)いに可(い)えしむなり、半たる之に勝つなり。

⑥不(おお)いなる知ある而(なんじ)は、之に可を以(もち)いて撃たしむなり。敵は、之と可(あ)たらしむこと不(な)く知ること撃ちて、吾(ふせ)ぐ卒(そつ)の半に之(もち)いて勝つなり。

⑦知ある而(なんじ)は、卒(ことごと)く之を吾(ふせ)がしめて、撃つこと以(や)めて可(あ)たらしむなり。不(おお)いに敵されると知る之は、不(おお)いに撃つ可きなり、半なる之は勝(しょう)たるなり。

⑧知ある而(なんじ)は、卒(そつ)に吾(ふせ)ぐ之に、撃たれると以(おも)わしむ可し。不(おお)いに敵を知る之は、之を半たらしめて勝つこと不(おお)いなる可とし、撃つなり。
<語句の注>
・1つ目の「知」は①②③④知識がある、⑤知恵、⑥交わる、⑦⑧知恵、の意味。
・「吾」は①②③④私、⑤⑥⑦⑧防御する、の意味。
・「卒」は①(山が)高く険しいさま、②尽き果てる、③終了する、④下級役人、⑤全て、⑥軍隊の編制単位で百人、⑦全て、⑧(山が)高く険しいさま、の意味。
・1つ目の「之」は①ある地点や事情に達する、②③④⑤⑥⑦⑧代名詞、の意味。
・1つ目の「可」は①~できる、②~すべきである、③④⑤⑥長所、⑦対する、⑧~できる、の意味。
・「以」は①②事を行う、③④⑤⑥使用する、⑦留める、⑧考える、の意味。
・1つ目の「撃」は①叩く、②強奪する、③④⑤⑥断ち切る、⑦攻める、⑧殺す、の意味。
・「而」は①②③④逆接の関係を表す接続詞、⑤⑥⑦⑧あなた、の意味。
・1つ目の「不」は①②③④無い、⑤⑥⑦⑧大いに、の意味。
・2つ目の「知」は①②③④知恵、⑤記憶する、⑥知恵、⑦感じる、⑧識別する、の意味。
・「敵」は①②戦争や競争で対抗する相手、③歯向かう、④戦争や競争で対抗する相手、⑤⑥災いをなすもの、⑦攻撃する、⑧戦争や競争で対抗する相手、の意味。
・2つ目の「之」は①赴く、②彼ら、④変わる、⑤代名詞、⑥⑦彼ら、⑧代名詞、の意味。
・2つ目の「不」は①~しない、②③④⑤大いに、⑥無い、⑦⑧大いに、の意味。
・2つ目の「可」は①長所、②~できる、③適合するさま、④長所、⑤病気が治る、⑥対する、⑦~できる、⑧長所、の意味。
・2つ目の「撃」は①攻める、②断ち切る、③強奪する、④⑤⑥⑦断ち切る、⑧叩く、の意味。
・「勝」は①持ち堪える、②景色の優れた土地、③敵を打ち破る、④忍ぶ、⑤⑥抑制する、⑦既に滅ぼされたさま、⑧抑える、の意味。
・3つ目の「之」は①彼ら、②③④⑤代名詞、⑥使う、⑦彼ら、⑧代名詞、の意味。
・「半」は①不完全な、②③④⑤大きな欠片のさま、⑥真ん中、⑦不完全な、⑧真ん中、の意味。
・「也」は①②③④⑤⑥⑦⑧断定の語気、の意味。
<解読の注>
中國哲學書電子化計劃「銀雀山漢墓竹簡(孫子)」は地刑篇全て欠落しているため、孫子(講談社)及び新訂孫子(岩波)の原文を採用した。
・この句には八通りの書き下し文と解読文がある。①②③④⑤⑥⑦⑧と付番して、それぞれについて解説する。

<①について>
・「卒」の“(山が)高く険しいさま”は、漢字の意味より其十1-1①「地勢が険しく堅固に守れる戦地の型「険」」を指すと考察。結果、「戦地の型「険」に該当する高く険しい山」と補って解読。

・「以」の“事を行う”の“事”は、其十1-11①「地勢が険しく堅固に守れる戦地の型「険」で軍隊を整え治める将軍は、先制して自軍を到達させて占拠させる」の占拠を指すと考察。結果、「戦地の型「険」を占拠する」と解読。

・1つ目の「撃」の“叩く”は、其五1-4①「段」の“槌(つち)で打つ”と同意と考察。其五1-4①「自分の方に投げられた脆い卵を目にとめて固い木槌で打つに等しく自軍に向かって来る脆い敵軍を認識して固い自軍で打ち破る」の虚実の教えに基づき、「容易く打ち破る」と解釈。結果、「敵軍を容易く打ち破る」と解読。

・2つ目の「之」の“赴く”は、戦地の型「険」の教えとして記述された其十1-12②「自軍に向けて弓を引き絞ることでその場から離れさせて、奇策部隊が隠れている場所に自軍を引き寄せようとする」で記述された“その場から離れさせる”ことと同意と考察。結果、使役形で「敵軍をその場から離れさせる」と補って解読。

・「之は勝える」の直訳は“彼らは持ち堪える”となる。この“彼ら”は其十1-1④「防御して持ち堪える多人数の正攻法部隊が、敵本軍から引き離した敵部隊を出現させることに成功すれば、隠れている奇策部隊の間者を出現させる」に基づけば、正攻法部隊を指すと考察できる。結果、「自軍の正攻法部隊は、敵軍の攻撃に持ち堪える」と補って解読。

<②について>
・1つ目と3つ目の「之」は、①3つ目の「之」の「自軍の正攻法部隊」を指示する代名詞と解読。

・「卒」の“尽き果てる”は、①「自軍の正攻法部隊は、敵軍の攻撃に持ち堪えても不完全な状態となる」の意味を積み上げていると考察。結果、「尽き果てて不完全な状態となる」と補って解読。

・「以」の“事を行う”の“事”は、「不完全な状態になった正攻法部隊」が兵士数を増やすために行う事柄であるため奇正の戦術とわかる。結果、「奇正の戦術を行う」と解読。

・1つ目の「撃」の“強奪する”は、奇正の戦術によって奇策部隊が敵兵を攻め取ることと考察。結果、「敵兵を攻め取る」と解読。

・2つ目の「之」の“彼ら”は、奇策部隊によって攻め取る敵兵達と考察。其五3-2①「鷹が獲物の鳥に追いついて強奪する時は、周到に行き届いているのであり、獲物の鳥を傷つけて挫折させる要因は、攻め取る節目と時機が出現したからである」に基づき、「獲物となる敵部隊」と解読。

・「勝」の“景色の優れた土地”は、これは“自軍にとって”景色が優れた土地であり、例えば①「戦地の型「険」」であり。自軍が有利に戦えるから優れた景色に見えるのだと解釈。結果、「勝におらしむ」で「有利に戦える戦地に自軍を配置している」と補って解読。

・「半」の“大きな欠片のさま”は、完全なものから欠けた一部分である。話の流れを考慮すれば、自軍の正攻法部隊から逃亡する部隊と考察できる。結果、「半なるもの」で「逃亡する部隊」と解読。

<③について>
・1つ目の「之」は、②「半」の「逃亡する部隊」を指示する代名詞と解釈。結果、「之ある」で「逃亡する部隊の出現」と解読。

・1つ目の「可」の“長所”は、「逃亡する部隊の出現」を終了させる利点と考察。「逃亡する部隊の出現」には、其十一5-5⑦「苦痛から逃げ出す道理」が働いていると解釈できる。そのため、「苦痛から逃げ出す道理」が働いた兵士達に働いてもらう教えである其十一5-5⑥「兵士達を力づける道理を理解した将軍は、駆り立てれば慰労するのであり、強要すれば褒美の品を贈呈するのであり、羊の集まりを導くように軍隊を動かすのである」の要約した「褒賞」が利点だと考察できる。結果、「褒賞」と解読。

・2つ目の「撃」の“強奪する”は、②1つ目の「撃」同様に解釈して「敵軍から攻め取る」と解読。

・「敵する之」の直訳は“歯向かう彼ら”となる。これは敵軍から攻め取った元敵兵達の内、自国に服従させず、抵抗している兵士を指すと考察。結果、「歯向かう敵兵達」と解読。

・2つ目の「可」の“適合するさま”は、「歯向かう敵兵達」を自国に服従させることと考察。結果、使役形で「服従させる」と解読。

・3つ目の「之」は、2つ目の「之」の「歯向かう敵兵達」を指示する代名詞と解釈。但し、形式上は自軍に従っている状態と考察し、「歯向かう元敵兵達」と解読。

・「半」の“大きな欠片のさま”は、「歯向かう元敵兵達」が集まって反乱分子として組織化することと考察。結果、「半たり」で「組織化された反乱分子となる」と解読。④も同様に解読。

・「勝」の“敵を打ち破る”は、其十三4-6④「自国に仕返しすることを心に覚えた元敵兵達」の“自国への仕返し”と同意と考察。結果、「自国へ仕返しする」と言い換えた。

<④について>
・1つ目の「之」は、③3つ目の「之」の「歯向かう元敵兵達」を指示する代名詞と解釈。この元敵兵達は③「歯向かう元敵兵達は組織化された反乱分子となって自国へ仕返ししようとする」と記述されていることを踏まえて「自国へ仕返ししようとする元敵兵達」と解読。⑤も同様に解読。

・「卒」の“下級役人”は、其二5-2③「リーダーとなって物事を処理する役人は、人民の生活を支える職務を主管し、災いする人民と交流して馴染みになり、危害を与えようとする自国に仕返ししたい人民を町、村、里、集落に封じるに至るのである」及び其二5-2④「人民が生活する町、村、里、集落に赴き、人民の生計を偵察して扶養すれば、自国に仕返ししたい人民が自国に順応する道理である」で登場する役人と考察。結果、「人民の生活を支える役人」と解読。

・1つ目と2つ目の「撃」の“断ち切る”は、「自国へ仕返ししようとする元敵兵達」の仕返ししようとする思いを断ち切ることと考察。結果、使役形で「仕返ししたい思いを断ち切らせる」と補って解読。⑤も同様に解読。

・「敵」の“戦争や競争で対抗する相手”は、③「歯向かう元敵兵達は組織化された反乱分子となって自国へ仕返ししようとする」の「歯向かう元敵兵達」と同意と考察。結果、「歯向かう元敵兵達」と解読。

・「不いに之かしむ可」の直訳は“大いに変わらせる長所”となる。これは、其十三4-6③「生け捕りにしても融通性がない敵兵が存在すれば、大いに年貢等を免除して考え方を改めさせる」に基づけば、年貢等を免除することを利点にすれば元敵兵達を心変わりさせることと考察できる。結果、「大いに心変わりさせる年貢等を免除する利点」と解読。

・3つ目の「之」は、「敵」の「歯向かう元敵兵達」を指示する代名詞と解読。⑤も同様に解読。

<⑤について>
・1つ目の「可」の“長所”は、④2つ目の「可」で記述された「大いに心変わりさせる年貢等を免除する利点」の意味を積み上げていると考察。結果、「年貢等を免除する利点」と簡略化して解読。

・2つ目の「之」は、④「卒」の「人民の生活を支える役人」を指示する代名詞と解読。

・「敵」の“災いをなすもの”は、「自国へ仕返ししようとする元敵兵達」と同意と考察。結果、「災いを起こした元敵兵達」と解読。⑥も同様に解読。

・2つ目の「知」の“記憶する”は、其九5-4⑦「まだ何事も問題を起こしていない時から兵士達を分類して名簿の記録を更新するのであり、等級として法規を守らなかった兵士への処分に使う」に基づけば、名簿で記録することと考察。結果、「名簿を使って記録する」と補って解読。

・2つ目の「可」の“病気が治る”は、其九5-4⑦「まだ何事も問題を起こしていない時から兵士達を分類して名簿の記録を更新するのであり、等級として法規を守らなかった兵士への処分に使うことにして、施行して大いに等級を習慣化させた時、反駁して罰を退けさせること無く、兵士達を治めるのである」に基づけば、名簿制度を習慣化することで「自国へ仕返ししようとする元敵兵達」を改心させることができるのだと解釈できる。結果、使役形で「改心させる」と解読。

・「半」の“大きな欠片のさま”は、③「半」同様に解釈。結果、ここでは「半たり」で「反乱組織となる」と簡略化して解読。

<⑥について>
・1つ目の「之」は、⑤3つ目の「之」の「歯向かう元敵兵達」を指示すると解釈。この元敵兵達は名簿制度によって抑制していることを踏まえて、「抑制した元敵兵達」と解読。

・1つ目の「可」の“長所”は、其四4-4④「赤い顔料と耕作地にある用水路の水の重さを量らせるに等しく、増えることがない敵国での収入とどんどん増える自国での収入を比較させて攻め取った敵部隊を自国に寝返らせて採用する」等で記述される富の豊かさを指すと考察。結果、「どんどん増える収入という利点」と解読。

・1つ目の「撃」の“断ち切る”は、「どんどん増える収入という利点」を使って敵国への未練を断ち切り、③「大いに服従させる」ことと考察。結果、使役形で「敵国への未練を断ち切って自国に服従させる」と補って解読。

・2つ目の「之」の“彼ら”は、其八3-2⑥「命を保証されて敵奴隷となった元兵士達に対峙する自軍の兵士達はぎこちなくなるのである」から類推すれば、「災いを起こした元敵兵達」と対峙させてはいけない敵軍の兵士達と解釈できる。結果、「敵軍の兵士達」と簡潔に解読。

・「卒」の“軍隊の編制単位で百人”は、其三1-1①「卒」の「中隊」を指すと考察。結果、「中隊」と解読。

・「吾ぐ卒」は、「卒」を「中隊」と解釈すれば“防御する中隊”となる。これは其六2-5④「立派に整えて防御する正攻法部隊」に基づけば、自国に服従した元敵兵達は正攻法部隊に編制するのだとわかる。結果、「防御する正攻法部隊の中隊」と補って解読。

・「防御する正攻法部隊の中隊の真ん中に配置して抑制する」は、其三1-1②「停留している敵軍の小隊を打ち破っても、施して怪我が治れば自軍に所属させるのであり、背こうとすれば中隊の真ん中に配置して前進する」に類似した記述がある。

<⑦について>
・1つ目の「之」は、⑥「卒」の「中隊」を指示すると解釈。この「中隊」は、災いを起こした元敵兵達を防御する正攻法部隊の中隊の真ん中に配置して抑制することを踏まえて、「災いを起こした元敵兵達を真ん中に配置した中隊」と解読。

・「撃つこと以めて可たらしむ」の直訳は“攻めることを留めて対峙させる”となる。これは自軍の正攻法部隊に攻撃させること無く敵軍と対峙させることと考察。結果、「攻めること無く敵軍と対峙させる」と解読。

・2つ目の「之」の“彼ら”は、自軍に攻撃されると感じた相手であるため、「敵兵達」と解読。

・2つ目の「撃」の“断ち切る”は、自軍に攻撃されると感じた敵兵達を断ち切ることであり、其六4-2①「自軍を集合させて一と見なして、敵軍は分断させて十分の一にさせる理由は、全部隊が揃った自軍を使って敵部隊の一つを敵本軍から断ち切るからである」を実現することと考察。結果、「敵軍から断ち切って分断させる」と補って解読。

・「半なる之」の直訳は“不完全な彼ら”となる。これは敵軍から断ち切って分断させた敵兵達を指すと考察。結果、話の流れがわかるように「分断されて不完全になった敵兵達」と補って解読。

<⑧について>
・「卒」の“(山が)高く険しいさま”は、①「卒」同様に解釈。結果、ここでは簡潔に「戦地の型「険」」と解読。

・1つ目の「之」は、⑦1つ目の「之」の「災いを起こした元敵兵達を真ん中に配置した中隊」を指示すると解釈。この「中隊」は、防御する正攻法部隊であることに着眼し、「正攻法部隊」と簡略化して解読。

・「撃たれると以わしむ」の直訳は“殺されると考えさせる”となる。この主体者は、自軍に攻撃されると感じた敵兵達と考察。結果、「敵兵達に「自軍に殺される」と考えさせる」と補って解読。

・「敵」の“戦争や競争で対抗する相手”は、②「獲物となる敵部隊」を指すと考察。結果、「獲物となる敵部隊」と解読。

・2つ目の「之」は、②「奇正の戦術を行って敵兵を攻め取るべきであるという知識」を実践する文意と解釈すれば、奇策部隊を指すと考察できる。結果、「奇策部隊」と解読。

・3つ目の「之」は、⑦3つ目の「之」の「分断されて不完全になった敵兵達」を指示する代名詞と解読。

・「之を半たらしむ」は、「之」を「分断されて不完全になった敵兵達」と解釈すれば“分断されて不完全になった敵兵達を真ん中にする”となる。これは、其五2-9②「正攻法部隊の周囲を取り囲んで制止している奇策部隊は、周囲をじっくり見ていない敵部隊を取り囲んだ状態をつくり、容易く攻め取れる状態に至らせて行き詰まらせることができた時、一斉に出撃するのである」及び其五2-9④「奇策部隊と正攻法部隊は力を合わせて敵部隊の周囲を取り囲んで生け捕りにする」を指すと考察。結果、「分断されて不完全になった敵兵達の周囲を取り囲ませる」と解読。

・2つ目の「撃」の“叩く”は、其五1-4①「段」の“槌(つち)で打つ”と同意と考察。其五1-4①「自分の方に投げられた脆い卵を目にとめて固い木槌で打つに等しく自軍に向かって来る脆い敵軍を認識して固い自軍で打ち破る」の虚実の教えに基づき、「容易く打ち破る」と解釈。結果、「容易く打ち破る」と解読。

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