之は変わらしめて地に九めるなり、之は利に信いの詘せしむなり、理は之に人を請うなり、不いに可たりて不いに察するなり。

其十一5-7

九地之變、詘信之利、人請之理、不可不察也。

jiŭ dì zhī biàn、qū xìn zhī lì、rén qǐng zhī lǐ、bù kĕ bù chá yĕ。

解読文

①獲物となった敵部隊は誘導して奇策部隊が隠れている場所に集めるのであり、獲物となった敵部隊は利点によって、生きたまま敵を取得する間者が屈伏させるのであり、生きたまま敵を取得する間者は、屈伏させた元敵兵達から敵将軍について教えてもらうのであり、大いに向き合って大いに敵の実情を見抜くのである。

②獲物となった敵部隊を奇策部隊が隠れている場所に到達させる時は正攻法部隊が誘導して、疑いもなく逃げ道に執着させた時に奇策部隊が出現して窮まった状態にするのであり、人あたりが柔らかい間者が出現して、その敵兵達の能力及び適性をはっきり見分けた上で大いなる利点を申し上げるのである。

③正攻法部隊は、ひたすら隠れている奇策部隊の出撃準備を無視させる正攻法と奇策の移り変わりを用いる時、軍隊を屈伸させる蛇の道理を用いるのである。優れた将軍は、人に求めること無く道理を用いるのであり、道理について大いに考察しなければならないのである。

④優れた将軍は、たくさんの奇策部隊が隠れている場所で正攻法と奇策の移り変わりを実行するのである。人あたりが柔らかい間者は、屈伏させた元敵兵達の口がどもるならば信ずるに足ると識別して、大いなる思いやりを持って利点を告げるのであり、厳しい態度で対峙しないのである。

⑤正攻法と奇策の移り変わりは九種類の戦地「散、軽、争、交、瞿、重、泛、囲、死」で用いるのであり、獲物となった敵部隊の赴くままにしても巡り合わせ良く奇策部隊を出現させて窮まった状態にするのである。屈伏させた元敵兵達の信頼度を識別して大いに敵将軍について教えてもらうのであり、大いに能力及び適性が適合すれば、寝返らせても敵と親しく交流する間者に推挙するのである。

⑥寝返らせても敵と親しく交流する間者達は、敵の正攻法部隊や敵国の里等で間者働きをするのであり、大いに適合する存在を調査した上で、旗の仕事をする敵兵等について歪曲した情報を広めるのである。その旗の仕事をする敵兵等を利点として用いて、敵将軍の考えていた計画を大いに取るのである。

⑦敵将軍の考えていた計画を改めさせれば、敵軍は身動きできずにひたすら一所に留まるが、疑いもなくこの利点に誘われて向かって行こうとする自軍の兵士達を許さずに抑えるのであり、優れた将軍は、敵軍に向かって行く進路について大いに調査することを兵士達に求めるのである。

⑧敵軍に向かって行く進路に、九種類の異変の内の「泛地、瞿地、絶地、囲地、死地」が存在すれば、その場所を利点として用いるのであり、敵の奇策部隊が隠れている時は抑えるのである。生きたまま敵を取得する間者は、将軍が検討した敵部隊を攻め取る方法に従って、奇策部隊が隠れる場所がわからないように取り繕うのであり、見抜かせること無く獲物となった敵部隊を招き寄せるのである。
書き下し文
①之は変(か)わらしめて地に九(あつ)めるなり、之は利に信(つか)いの詘(くっ)せしむなり、理は之に人を請(こ)うなり、不(おお)いに可(あ)たりて不(おお)いに察するなり。

②地に之(いた)らしむに九の変(か)わらしめて、信(まこと)に利(むさぼ)らしむに之ありて詘(つ)けしむなり、理なる人ありて、可(よ)きこと不(おお)いに察(み)て、不(おお)いなる之を請(つ)げるなり。

③九は地(た)だ変を之(もち)いるに、詘(ま)げて信(の)びる利を之(もち)いるなり。人は、請(こ)うこと不(な)くして理を之(もち)いるなり、不(おお)いに察する可きなり。

④之は九なる地に変なすなり。之は、之の詘(くつ)ならば信(しん)ありと理(り)して、不(おお)いなる人(じん)に利を請(つ)げるなり、察たりて可(あ)たらざるなり。

⑤変は九地に之(もち)いるなり、人に信(まか)せるも利(よろ)しく之あらしめて詘(つ)けしむなり。之は理(り)して不(おお)いに請(こ)うなり、不(おお)いに可(よ)ければ察するなり。

⑥之は、九や地に変なすなり、不(おお)いに可(よ)きものを察して、人を詘(ま)げて信(の)ばすなり。之を利として之の理(すじ)を不(おお)いに請(せい)するなり。

⑦之を変えしめば地(た)だ九(あつ)めるも、信(まこと)に利されて之(ゆ)かんとする人を可(き)かざりて詘(へ)らすなり、之は、理(すじ)を不(おお)いに察すること請(こ)うなり。

⑧之に九変の地あれば、之を利とするなり、信(つか)いあるに詘(へ)らすなり。人は、不(おお)いなる可に理(おさ)めるなり、察せしむこと不(な)くして之を請(こ)うなり。
<語句の注>
・「九」は①一所に集める、②③陽の喩え、④たくさん、⑤数の名、⑥陽の喩え、⑦一所に集める、⑧数の名、の意味。
・「地」は①②其一2-5③「地」、③ひたすら、④其一2-5③「地」、⑤其一2-5②「地」、⑥其一2-5④「地」、⑦ひたすら、⑧其一2-5①「地」、の意味。
・1つ目の「之」は①代名詞、②ある地点や事情に達する、③使う、④代名詞、⑤使う、⑥彼ら、⑦⑧代名詞、の意味。
・「変」は①②移動する、③④⑤移り変わり、⑥陰謀を用いること、⑦改める、⑧異変、の意味。
・「詘」は①屈伏する、②窮まるさま、③曲げる、④口がどもるさま、⑤窮まるさま、⑥歪曲する、⑦⑧抑える、の意味。
・「信」は①仲人、②疑いもなく、③伸ばす、④信ずるに足る、⑤おもむくままにする、⑥広める、⑦疑いもなく、⑧仲人、の意味。
・2つ目の「之」は①代名詞、②彼ら、③使う、④⑤⑥代名詞、⑦赴く、⑧代名詞、の意味。
・「利」は①良い点、②利益を強く求める、③④良い点、⑤巡り合わせが良い、⑥利益あるものとして用いる、⑦利益で誘う、⑧利益あるものとして用いる、の意味。
・「人」は①②ある種の職能を持つ特定の人、③優れた人物、④思いやり、⑤ある人、⑥ある種の職能を持つ特定の人、⑦民衆、⑧ある種の職能を持つ特定の人、の意味。
・「請」は①教えてもらう、②申し上げる、③相手に求める、④申し上げる、⑤教えてもらう、⑥取る、⑦相手に求める、⑧招く、の意味。
・3つ目の「之」は①②代名詞、③使う、④⑤⑥⑦⑧代名詞、の意味。
・「理」は①仲人、②人あたりが柔らかなさま、③道理、④⑤識別する、⑥⑦事柄の筋道、⑧飾る、の意味。
・1つ目の「不」は①②大いに、③無い、④⑤⑥大いに、⑦~しない、⑧大いに、の意味。
・「可」は①向き合う、②適合するさま、③~しなければならない、④対する、⑤⑥適合するさま、⑦許す、⑧長所、の意味。
・2つ目の「不」は①②③大いに、④⑤~しない、⑥⑦大いに、⑧無い、の意味。
・「察」は①見抜く、②はっきり見分ける、③考察する、④(法令や要求が)厳しいさま、⑤推挙する、⑥⑦調査する、⑧見抜く、の意味。
・「也」は①②③④⑤⑥⑦⑧断定の語気、の意味。
<解読の注>
・孫子(講談社)の原文は「九地之變、屈伸之利、人情之理、不可不察也。」と「詘信」を「屈伸」、「請」を「情」するが、中國哲學書電子化計劃「銀雀山漢墓竹簡(孫子)」の原文を採用した。
・この句には八通りの書き下し文と解読文がある。①②③④⑤⑥⑦⑧と付番して、それぞれについて解説する。

<①について>
・1つ目と2つ目の「之」は、其十一5-6⑧「於」の「獲物となった敵部隊」を指示する代名詞と解読。

・「地」は、其一2-5③「地」の「間者が隠れて出現する場所」であり、この間者は奇策部隊を率いる者であることを踏まえて、話の流れに合わせて「奇策部隊が隠れている場所」と解読。②④も同様に解読。

・「変」の“移動する”は、「獲物となった敵部隊」を「奇策部隊が隠れている場所」に狙って移動させることであり、つまりは誘導することと考察。結果、使役形で「誘導する」と解読。②も同様に解読。

・「信」の“仲人”は、「獲物となった敵部隊」を自国に寝返らせる存在であり、敵部隊と自国の仲人と解釈すれば、其十二2-2①「生きたまま敵を取得する間者」を指すと考察できる。結果、「生きたまま敵を取得する間者」と解読。

・3つ目の「之」は、2つ目の「之」の「獲物となった敵部隊」を指示する代名詞と解釈。但し、この敵部隊は屈伏させた状態であり、敵の実情を教えてもらう相手であることを踏まえて、「屈伏させた元敵兵達」と解読。

・「理」の“仲人”は、「信」の“仲人”と同様に「生きたまま敵を取得する間者」と解読。

・「人」の“ある種の職能を持つ特定の人”は、話の流れより敵将軍を指すと考察。結果、「敵将軍」と解読。

・「察」の“見抜く”は、敵将軍について教えてもらう流れから、其十一2-3④「敵将軍の戦略、戦術は、奇正の戦術を実行して攻め取った敵兵達に求めて敵自身に一つひとつ挙げて説明させるであり、攻め取った敵兵達を思いやりによって大いに住居と富と食糧を満足させる機会を利用するのである。攻め取った敵兵が、大いに恐れながら敵将軍の戦略、戦術を語れば、その内容を採用するのである。しかし、その敵兵が大いに慎んでいるならば敵将軍の戦略、戦術を偽っているのである」及び其一1-2①「敵自身から敵の実情を教えてもらう方法を探求する」に基づき、敵の実情を見抜くことと考察できる。結果、「敵の実情を見抜く」と補って解読。

<②について>
・「地に之らしむ」は、「地」を「奇策部隊が隠れている場所」に解釈すれば“奇策部隊が隠れている場所に到達させる”となる。これは①「獲物となった敵部隊は誘導して奇策部隊が隠れている場所に集める」の意味を積み上げていると考察。結果、「獲物となった敵部隊を奇策部隊が隠れている場所に到達させる」と補って解読。

・「九」の“陽の喩え”は、其五2-3③「」と同意と考察。「日」は「正攻法部隊」の喩えであり、「月」は「奇策部隊」の喩えである。結果、「九」は「正攻法部隊」と解読。③も同様に解読。

・「利」の“利益を強く求める”は、其十一4-4⑤「奇策部隊は隠れる場所がわからないように取り繕って、獲物となった敵部隊全てを安心させてその逃げ道に執着させたのである」で記述された逃げ道に執着させることと同意と考察。結果、使役形で「逃げ道に執着させる」と解読。

・2つ目の「之」の“彼ら”は、「生きたまま敵を取得する間者」が所属する奇策部隊を指すと考察。結果、「奇策部隊」と解読。

・「人」の“ある種の職能を持つ特定の人”は、①「理」及び①「信」の「生きたまま敵を取得する間者」と同意と考察。但し、冗長にならないように「間者」と簡略化して解読。

・「可きこと不いに察る」の直訳は“大いに適合することを大いにはっきり見分ける”となる。これは其九4-7②「役に立たたないために薪を摘み取っている敵兵を見抜く者は、能力及び適性に応じて敵兵を分類するのである」に基づけば、「生きたまま敵を取得する間者」が「獲物となった敵部隊」の能力及び適性の分類をすることと考察できる。結果、「その敵兵達の能力及び適性をはっきり見分ける」と補って解読。

・3つ目の「之」は、①「利」の「利点」を指示する代名詞と解読。

<③について>
・「変」の“移り変わり”は、其五2-9①「隠れている奇策部隊の出撃準備を無視させる正攻法と奇策の移り変わり」の意味を積み上げていると考察。結果、「隠れている奇策部隊の出撃準備を無視させる正攻法と奇策の移り変わり」と解読。

・「詘げて信びる利」の直訳は“曲げて伸ばす良い点”となる。これは其十一4-2②「敵軍が自軍の前方部隊を攻めれば後方部隊が援護に行き、敵軍が自軍の後方部隊を攻めれば前方部隊が援護に行き、敵軍が真ん中にある本隊を攻めれば前方部隊と後方部隊が揃って援護に行くのである。そうして防御する正攻法部隊は、いつまでも山のように動かない敵軍に、蛇の道理を働かせるのである」の蛇の道理を指すと考察。結果、「軍隊を屈伸させる蛇の道理」と解読。

<④について>
・1つ目の「之」は、③「人」の「優れた将軍」を指示する代名詞と解読。

・「変」の“移り変わり”は、③「変」同様に「隠れている奇策部隊の出撃準備を無視させる正攻法と奇策の移り変わり」と解釈。但し、冗長にならないように「正攻法と奇策の移り変わり」と簡略化して解読。⑤も同様に解読。

・3つ目の「之」は、②「人」の「人あたりが柔らかい間者」を指示する代名詞と解読。

・2つ目の「之」は、①3つ目の「之」の「屈伏させた元敵兵達」を指示する代名詞と解読。

<⑤について>
・「九地」は、「地」を「戦地」と解釈すれば“九つの戦地”となる。これは其十一1-1①「散、軽、争、交、瞿、重、泛、囲、死」の九種類を指すと考察。結果、「九種類の戦地「散、軽、争、交、瞿、重、泛、囲、死」」と補って解読。なお、例えば、其十一1-2戦地「散地」の教えを見ると奇正の戦術について直接的な記述はないが、其十一1-2③「分断された敵軍は出現した多くの諸侯を敵と見なすが、兵士数を比較させれば、その敵軍を散らし消すのである」を見れば、劣勢になった敵軍が戦闘を選択した時には奇正の戦術を展開できる条件が整っていることがわかる。そのため、「九種類の戦地」は、戦地の属性を説明した上で、奇正の戦術が実行できる状況を作り出すところまでを記述した場合もあると解釈できる。

・「人」の“ある人”は、①1つ目の「之」等の「獲物となった敵部隊」を指すと考察。結果、「獲物となった敵部隊」と解読。

・2つ目の「之」は、②2つ目の「之」の「奇策部隊」を指示する代名詞と解読。

・3つ目の「之」は、④2つ目の「之」等の「屈伏させた元敵兵達」を指示する代名詞と解読。

・「理」の“識別する”は、④「理」の「屈伏させた元敵兵達の口がどもるならば信ずるに足ると識別する」に基づき、「信頼度を識別する」と補って解読。

・「請」の“教えてもらう”は、①「請」の「敵将軍について教えてもらう」の意味を積み上げていると考察。結果、「敵将軍について教えてもらう」と解読。

・「不いに可ければ察する」の直訳は“大いに適合すれば推挙する”となる。これは、其九4-7③「気晴らししながら薪を採る敵兵から間者候補を選び出す者は、能力及び適性に応じて敵兵を分類して報告する者である」に基づけば、間者としての能力及び適性があると判断したのであり、其九4-7⑧「寝返らせても敵と親しく交流する間者(参考:其十二2-2①)」に推挙するのだと考察できる。結果、「大いに能力及び適性が適合すれば、寝返らせても敵と親しく交流する間者に推挙する」と補って解読。

<⑥について>
・1つ目の「之」の“彼ら”は、⑤「寝返らせても敵と親しく交流する間者」を指すと考察。結果、「寝返らせても敵と親しく交流する間者達」と解読。

・「九」の“陽の喩え”は、②③「九」同様に「正攻法部隊」と解釈。但し、ここでは「寝返らせても敵と親しく交流する間者達」を送り込む文意であるため、「敵の正攻法部隊」と解読。

・「地」は、其一2-5④「地」の「敵国の町、村、里、集落」と考察。結果、「敵国の里等」と簡略化して解読。

・「変」の“陰謀を用いること”は、間者としての働きをすることと解釈。結果、「変なす」で「間者働きをする」と解読。

・「人を詘げて信ばす」の直訳は“ある種の職能を持つ特定の人を歪曲して広める”となる。これは、其十一5-1③「有能な将軍は、敵兵達から軽んじられている元敵兵の間者を敵陣営に出向かせるのであり、旗の仕事をする敵兵を見やって「味方を馬鹿にして既に寝返った裏切り者である」とこっそり話をさせるのである」等に基づけば、旗の仕事をする敵兵について歪曲した情報を広めることと考察できる。但し、旗の仕事をする役割以外も含まれる可能性を考慮し、「旗の仕事をする敵兵等について歪曲した情報を広める」と補って解読。

・2つ目の「之」は、「人」の「旗の仕事をする敵兵等」を指示する代名詞と解釈。但し、話の流れに合わせて「その旗の仕事をする敵兵等」と解読。

・3つ目の「之」は、①「人」の「敵将軍」を指示する代名詞と解読。

・「之の理を不いに請する」は、「之」を「敵将軍」と解釈すれば“敵将軍の事柄の筋道を大いに取る”となる。これは其七6-1①「敵全軍を統率する敵将軍からは考えていた計画を強制的に取るのが良い」を実行することと考察。結果、「敵将軍の考えていた計画を大いに取る」と解読。

<⑦について>
・1つ目の「之」は、⑥「理」の「敵将軍の考えていた計画」を指示する代名詞と解読。

・「地だ九める」の直訳は“ひたすら一所に集める”となる。これは、其十一5-2①「敵兵達の耳と目を惑わせる軍事行動を行えば、敵将軍は考えていた計画を変えようとするが、軍隊を動かす指示の目印が無いのである」及び其十一5-3①「耳と目を惑わせた敵兵達が動けずに留まっている」は、「敵将軍の考えていた計画」を取った結果、身動きできずに留まっている敵軍に関する記述と考察。結果、「敵軍は身動きできずにひたすら一所に留まる」と補って解読。

・「人」の“民衆”は、其十一5-3①「耳と目を惑わせた敵兵達が動けずに留まっていても、その敵軍に向かって行く進路について、自軍の兵士達を出向かせて、得意になること無く深く考えるのである」の兵士達を指すと考察。結果、「自軍の兵士達」と解読。

・3つ目の「之」は、④1つ目の「之」の「優れた将軍」を指示する代名詞と解釈。但し、話の流れに合わせて「優れた将軍」と解読。

・「理」の“事柄の筋道”は、其十一5-3①「耳と目を惑わせた敵兵達が動けずに留まっていても、その敵軍に向かって行く進路について、自軍の兵士達を出向かせて、得意になること無く深く考えるのである」の“敵軍に向かって行く進路”を指すと考察。結果、「敵軍に向かって行く進路」と解読。

・「請」の“相手に求める”は、自軍の兵士達と考察。結果、「兵士達に求める」と解読。

<⑧について>
・1つ目の「之」は、⑦「理」の「敵軍に向かって行く進路」を指示する代名詞と解読。

・「九変の地」の直訳は“九つの異変の場所”となる。これは、“九つの異変”が其八1-3①「九変」の「途、軍、城、地、君」であり、“場所”は九変の内の「途(泛地、瞿地、絶地、囲地、死地)」を指すと解釈できる。結果、「九種類の異変の内の「泛地、瞿地、絶地、囲地、死地」」と補って解読。

・2つ目の「之」は、「地」の「泛地、瞿地、絶地、囲地、死地」を指示する代名詞と解釈。但し、冗長にならないように「その場所」と簡潔に解読。

・「信」の“仲人”は、①「信」同様に「生きたまま敵を取得する間者」と解釈するが、ここでは身動きできずに留まる敵軍が仕掛けた敵の奇策部隊を指すと考察。結果、話の流れに合わせて「信いある」で「敵の奇策部隊が隠れている」と解読。

・「人」の“ある種の職能を持つ特定の人”は、②「人」同様に解釈して「生きたまま敵を取得する間者」と解読。

・「不いなる可」の直訳は“大いなる長所”となる。これは、話の流れより其十一5-3③「獲物となった敵部隊を攻め取る場所を軽視しない徳のある将軍は、自軍の兵士達を出向かせてその場所を占拠するのであり、敵部隊を攻め取る方法について検討するのである」の「敵部隊を攻め取る方法」を指すと考察。結果、「将軍が検討した敵部隊を攻め取る方法」と解読。

・「理」の“飾る”は、其十一4-4⑤「隠れる場所がわからないように取り繕う」の意味を積み上げていると考察。結果、話の流れに合わせて「奇策部隊が隠れる場所がわからないように取り繕う」と補って解読。

・3つ目の「之」は、⑤「人」の「獲物となった敵部隊」を指示する代名詞と解読。

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